鹿角ハンドルのセミスキナーとドロップが出来た。
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白骨化した落ち角の髄をくり抜いて、タングを差し込んでエポキシ接着剤を充填している。
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髄の部分はエポキシが隙間なく充填されている。白骨化した落ち角は樹脂や染料が染み込みやすい。今回は染色せずにオイルフィニッシュで仕上げた。
このハンドル構成はラブレスがローンデールの頃に作ってたモデルをもとにしている。材料費が安くできるのだが、加工と製作が厄介なところがある。エポキシの充填は結構面倒で、次々浸み込んでいくエポキシを常に見張って少しずつ足して行かないといけない。エポキシの粘度が低くなる気温の高い時期が都合がいい。夏限定のモデルともいえる。
セミスキナーはコンベンショナルタイプに成形した。3.5incより若干大きい。
ブレードは3mm厚のATS34をそのまま使った。低温焼き戻しで硬さはHRcで約64ある。硬さが高くなるので、いつもより若干エッジを厚目にした。
鹿角は背側に僅かに模様を残したが、他は景気良く削った。
エポキシと仕上げの乾性油の染み込み具合で、表面は僅かに透明感のあるまだら模様になっている。自分はこれが面白味があっていいと思っている。
このセミスキナーはキリオンが若干低かったので、トリプルにはせずにダブルステッチにした。その分僅かに細身にできた。
ドロップはインプルーヴドにした。これも3.5incより若干大きい。
これも3mm厚のATS34で、同じく低温焼き戻しで使った。若干厚みのあるエッジにして、硬さはHRcで約64ある。
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これも背側に僅かに模様を残した。
この妙な模様の質感が自分は好きだ。
この鹿角モデルは自分でも実用で使っている。磨き込んであっても滑りにくく手に馴染む。部材がブレードとハンドル材のみなので、構造的にもトラブルが発生しにくい。これが利点だと思っている。
シースはダブルステッチにした。インプルーヴドハンドルはキリオンがないので若干細身にできる。
セミスキナーとドロップ、どちらもそれぞれによさがある。作っていても面白味があっていい。