2025年4月30日水曜日

ラブレスのハーフタングモデル

シース制作のご依頼。なんとか完成した。
しかしラブレスだとは思わなんだ。
なんとも恐れ多い・・・w

5inchのユーティリティのハーフタングモデルって珍しいな。

コピーするつもりはもとからないので、あくまで自分流で作らせてもらった。
しかしラブレスのシースはよく出来ている。
こうやって自分の作った物と比べられたのは勉強になった。

せっかくなのでラブレスを観察してみる。
ブレード長128㎜、全長245㎜。ブレード身幅は約27㎜で鋼材厚は4.7㎜程度の様だ。
一応未使用の様だが長期間放置されていたのか、ブレードに錆びの跡が見られる。ATS34だと思われるが、ピンホールになって結構深い。

結構角が立っていて、ゴツゴツしたハンドル形状になっている。
しかし触った感じはなかなかいい。絶妙なんだなw

ハンドルは多分グリーンキャンバスマイカルタだと思う。ラブレスボルトはステンレスだが、この手のは快削の303なのだろうか?僅かに錆びがある。オーステナイト系ステンレスであっても、快削材は硫黄が含まれるので錆びやすい様だ。

ソングホールパイプはステンレスの様だ。径は1/4インチだと思われる。
最近思ったがラブレスの銀色のパイプはステンレスかアルミを使っている様だ。
とくに座繰りの深い肉厚の白っぽいパイプはアルミだと思われる。ラブレスでニッケルシルバーってのは無いんじゃなかろうか。

この角度で見るユーティリティブレードってカッコいいなw
刃元がリカーブしている様にも見えるが、これは刃付けで削り込んだから?・・・どう作るのが正解なんだろうか・・・

ハンドル前端が11㎜程度で中央の膨らみが17.5㎜、ハンドル後端で18.5㎜程度の厚さ。大きさの割には薄目だが、元々のマイカルタの厚みの制約もあたのかもしれない。

特徴的なフィンガーグルーブがなんともいい感じ。

ブレード身幅に対してハンドル幅が細く見えるが、グルーブがあるからそう見えるだけ。突起の高さでいうとコンベンショナルハンドルと大きく変わらない。
キリオンの部分はブレード身幅に対して5.5㎜程度と低い。

さらに細部を観察。
ブレードはとても細かいサテン仕上げになってる。バフ掛けされて一見ではミラーの様に見える。結構ザックリした仕上げだ。
ハンドル前端面の造形が面白い。ちっと面倒な加工だなw

ハンドルの磨きも粗目の研磨傷が残っていて、これをバフ掛けで仕上げているので、ここもザックリした感じになってる。
ハーフタングモデルは廉価版的なものだったらしいが、確かに全体としてザックリした作りになってる。

長い年月が経っているので仕方がないが、ハンドルの前端は剥がれて隙間が出来てしまっている。

そもそもマイカルタの溝の精度も、あまりよくないのかもしれない。
リカッソを磨く都合もあったと思うが、タングの後端に対してリカッソでは0.1㎜程度薄くなっていた。前端が剥がれてしまった理由は、これもあるのかもしれない。
そもそもラブレスは、ハンドルの接着が剥離してもハンドルはボルトで留まっているので脱落する事はない、道具として使えなくなる事はないのでそれでいいだろ・・・って考えなんだと思う。隙間が気になるなら接着剤で埋めればいい。合理的なラブレスの思想はそういう感じだったんじゃないかと思う。
ちなみに隠しボルトのハンドルはどう考えていたか・・・剥がれたらまた接着すればいいだろって考えだったと思うw

シースもしっかりした作りだ。
おそらくシースに挿しっ放しで何年も放置してあったのではなかろうか。未使用とはいえ長期放置してあっても、使おうと思えばそのまま使えそうだ。

案外ラブレスのシースってザックリした作りでもある。
コバはとくに何も塗っていない様だ。

ミシンで縫っていたそうだが、案外太い糸を使っている。

このシースは毛羽立ちの少ない床面の革を使っている。ラブレスは物によってえらい毛羽立った床面の部分を使っていたりする。
ブルハイドのダブルショルダーは部位による銀面の強度の違いは大きくないので、床面の状態によってシースの耐久性にはあまり影響がない様だ。

国内のカスタムメーカーはポーチタイプでも中子をテーパーに加工する人が多いが、ラブレスはテーパーにはしていない様だ。


裏面は平面的な成形になっている。

表面をナイフ本体に合わせた成形になっている。
ブレードの収まる位置の断面形状はエッジ側が厚くブレードバック側が薄く整形してある。ラブレスのポーチタイプは大抵そうなっている。この部分の考え方は謎だw

収めてみるとカッコいいねw
年月経って単にボロくなるのではなく、なんともいい雰囲気が出てくるのがラブレスの凄いところだな。
今回もいい勉強をさせてもらいましたw



2025年4月14日月曜日

14C28N

昨年の関の刃物まつりで買ってきた14C28Nを使ってみる。
10C28Mo2との違いが知りたいので、両方で作ってみる事にした。

一番の疑問は焼入れのオーステナイト化の温度が1080℃で行けるという事。
オーバーヒートにならないのか?
アレイマの人に聞くと組織の状態が鍵らしい。

硬さを測ってみた。
若干炭素量が多い事と窒素を少量含有しているので、10C28Mo2よりは硬さは高くなるとは予想していたが、思った以上に高かった。
CRMO7、10C28Mo2はこの系統になる。14C28Nもこれに入る。
420はC量が少ないためにオーステナイト化の温度は低めになるのだが、CRMO7は1%程度Moがあるためにオーステナイト化温度が高めになってる。
14C28NはMoの様な炭化物生成傾向の高い合金元素は含まれないので、オーステナイト化温度は低めだと思っていた。

以下は顕微鏡観察した結果。
600倍は横の画角がちょうど100μmになる。
 
14C28N マトリックスアイダCRMO7の条件 600倍

14C28N マトリックスアイダCRMO7の条件 150倍

14C28N 生材 600倍

14C28N 生材 150倍

10C28Mo2 マトリックスアイダCRMO7の条件 600倍

10C28Mo2 マトリックスアイダCRMO7 150倍


10C28Mo2 生材 600倍

10C28Mo2 生材 150倍

研磨とエッチングが今一であるが、14C28Nの熱処理後の組織は観察した限りではオーバーヒート等の組織の異常はなかった。
10C28Mo2と比較すると、熱処理後は幾分14C28Nの方が炭化物が大きく密度も高い様だ。溶け残った炭化物も多い。オーステナイト化が高くても過熱にならない理由は、この辺にあるのかもしれない。
10C28Mo2,14C28Nとも生材と比較すると、熱処理後は炭化物が固溶している様子がわかる。10C28Mo2は溶け込む量が多く、ぎりぎりオーバーヒートになってない感もある。
エッチングした時の感触では、10C28Mo2の方が若干耐食性がいい様だ。

マトリックスアイダの熱処理条件は、ATS34、CRMO7、それ以外、の三通りある。
「それ以外」というのはD2に適した条件になっている。
ATS34とCRMO7はD2の条件よりオーステナイト化の温度が40℃ほど高い。
おそらく14C28Nをそのまま出すと硬さは59~60ぐらいになるんじゃなかろうか。
CRMO7の条件だとやや硬すぎる感もある。場合によっては160℃程度で2時間ほど追加で焼き戻した方がいいかもしれない。60~61程度になると思う。

2025年3月30日日曜日

埼玉のオレンジ


 先日親戚からオレンジを貰った。埼玉でもオレンジが採れるとは・・・しかし酸っぱすぎて生では食べられないw


仕方がないのでジャムにしてみる。
しかし皮剥いて房から実を取るのは面倒だ。ものぐさして刻んでやってみる事にした。

刻んでグラニュー糖を混ぜて煮る。
面倒くさいので種もほとんど取らなかった。
オレンジ2.4kgにグラニュー糖は1.2kgの分量にした。

ひたすら煮込む。透明感が出てくると出来上がり。

湯煎したビンに摘めて完成。
ものぐさな作り方だったが、なんとかなった。これでもいいのかw




ラムユーティリティ





ラムユーティリティ出来上がった。


ブレードはRWL34の3.5㎜厚を背側を削り抜いて実質2.7㎜厚にしている。今回は低温焼き戻しにして硬さを高目にしてみた。

ハンドルはタンキャンバスマイカルタだが、キャンバスがオックスフォード織の様な生地になっている。


ニッケルシルバーヒルトにインチサイズのラブレスボルト、真鍮のソングホールパイプを使っている。ハンドルには0.3㎜厚のエビ茶色のスペーサーを入れた。


シースはダブルステッチで。ブルハイドのダブルショルダーは耐久性が高くていい。

ラムユーティリティってなんかいいねw
 

おまけ。
猟仲間が使ってるラブレスの本物(?)から採寸した図。案外ボリュームあるんだよな。
まあその時々でラブレスは違いがあるから、何が正解かは分らないけどw


2025年3月28日金曜日

また巣分れした

今日の昼過ぎにまた分蜂した・・・
三日前に分蜂したばかりで油断してた。

前回と同じ場所にぶら下がった。

梯子掛ければ取れなくもないが、近所迷惑になりかねないので諦めよう。

残された巣の中はどうなっているだろか・・・困ったもんだw

2025年3月25日火曜日

達者でな~

今日の昼前に急に蜂が騒ぎ始めた。分蜂だ!
蜂は雲霞の様に飛び回り、うちの周りを一周した。

集合板は置いていたのだが、これには付かなかった・・・

近所の桜の木に付いたが、高くて回収は難しい・・・
日暮れに何処か低いところに付くか?と期待したが、14時すぎに何処かへ飛んで行ってしまった。
残念だが仕方がない。何処かで生き延びてくれる事を祈る。また戻って来いよ~

やっと春らしくなってきた。
2月と3月の前半は寒かったな・・・