2022年8月28日日曜日

射撃の反省


一昨日の射撃でウィンチェスターM94は右寄りに着弾していた。
その前の射撃では左寄りに着弾していたので照星を調整していた。
どのくらい調整したかは画像が残っていた。
元々照星は中心よりやや右にずれていた。これがもとの状態。

木っ端を当ててハンマーで左に僅かに寄せた。
正確に寸法は分らないが0.5㎜ちょっとしか動いていないのではないだろうか。
これで照星はほぼ中央になった。
しかしこれだと動かし過ぎだったんだな・・・w

一昨日の射撃では右寄りに着弾していた。
バラけて今一はっきりはしないが50mではおよそ40㎜程度で、100mだとその倍程度のズレの様だ。

50mで40㎜のズレだとすれば照星と照門の長さは約430㎜なので、計算上だと照門か照星を0.34㎜ずらせばいい事になる・・・本当なのか?w

とりあえず照門を左にずらす事にした。
まずは鉛筆で印を付ける。

 木っ端を当ててハンマーで叩く。
微妙だが僅かに動いた。この辺りの調整って微妙だ。
そもそもアイアンサイトでは照星と照門の重なりをどう見るかでもバラついてくる。
ウィンチェスターのアイアンサイトはレミントンM870と比べると微妙に狙いにくい。
あまり神経質に調整しても仕方がないのかもしれない。
それよりも集弾のバラつきが少なくなる様に練習するべきかもしれない。

2022年8月26日金曜日

狙える?


 仕事が休めたので射撃に行ってきた。
平日の射場は空いてていいなw


50m委託で308サコーのボルト。

ラプア155グレイン射撃用。

前回よりレティルを左に2クリックと下に1クリック動かした。

今日は妙にバラつくなぁ・・・



50m委託でウィンチェスターm94、30-30。

フェデラルの150グレイン。

前回まだ左寄りに集弾していたので、照星を僅かに左にずらしておいた。

ずらせ過ぎたか・・・今度は右寄りに集弾する様になってしまったなw


ウィンチェスターで100mをやってみる。

委託だが案外いけるな。アイアンサイトだと左右はいいが、上下が合わせ辛い。そのため上下のバラつきが大きい様だ。

バラつきはあるものの、概ね50mと着弾の高さは変わらない感じだ。


サコーで100mを委託で。

50mよりやや上にち着弾する。左右のバラつきはガク引きしてしまうのか?


やっとライフルの感触がわかってきた。まだもっと練習が必要だ。

しかしライフルっていいな。スラッグだと100mはドロップしてバラつきも大きかったが、ライフルなら狙える。この違いは感動だw




2022年8月19日金曜日

硬さ基準片

HRc67の硬さ試験片を買ってみた。
ここまで硬い鋼材を使う事はほとんどないのだが、やはり硬さ試験機のこの辺りの差も知っておきたい。
硬さ試験は本来この基準片を使いながら計測値を補正しなければいけない。
硬さ試験機は天秤とマイクロメーターを組み合わせた様な構造になっていて、HRc1の違いは打痕の深さ2μmの差になる。結構微妙な計測で、とくに外気温の変化の影響が大きい様だ。


基準片には製造時の成績書が付いてる。この基準片はHRc67.2らしい。

打痕が10か所付いている。
表面は鏡面仕上げだ。組織が細かい必要があるので、おそらく低合金の炭素鋼に近い鋼材で出来ているんだと思う。巨大な炭化物があるとバラつきが大きくなる。

硬さ試験機を使う時は、はじめに「慣らし運転」としてベアリングのアウターレースを使って何回か測定する。アウターレースは大体HRc61ある。

使う鋼材は大体HRc60前後ぐらいのが多いので基準片は60で間に合っていた。

HRc60の基準片を測る。
硬さ試験は微妙なもので試験する物の表面の状態が結構影響する。
とくに試験機のベットと試験する物の密着の影響は大きい。油分や異物が挟まれない様に注意する必要がある。
ミクロン単位の測定なので振動の影響もある。
うちは通行の多い通りに面しているのだが、クルマが通ると微妙に振動する。通行の少ない時間帯で測定している。

HRc67の基準片。
概ね表示値は1低く出る様だ。
気温の影響が大きく、気温が高いほど低目の表示値になってる。おそらく試験荷重を掛ける構造に油圧のダッシュポッドが使われているのだが、温度による油の粘度変化が試験荷重の掛かる速度に影響しているのだと思う。気温が高いと試験荷重の掛かる速度が速くなり、表示値が低くなる。

測定は5ヶ所以上行って平均を取る。
バラつきが大きい時はさらに測定して、バラつきの中央付近を抽出する。
バラつきは大きくても0.5以内を取って、大きく振っている数値は除外する。
炭素鋼は案外バラつきは少ないが、巨大な炭化物がある合金鋼はバラつきが大きくなる傾向がある。
60と67付近の表示値の差は概ね同じ程度だという事がわかった。
古いインド製の硬さ試験機だが案外使えるw
基準片を使って校正しながら使わないといけないのは、最新の硬さ試験機でも同じだ。
要は何をやっているのか理解すればいい。

 

2022年8月4日木曜日

H1の断面組織

その中にH1の組織写真があって、これに驚いた。
ナイフ鋼材オタク氏の記事では断面方向を観察していて、金属組織が層状の縞模様になっていた。
氏の考察では大部分はマルテンサイトだが、一部δ(デルタ)フェライトが見られる様だとの事。
δフェライトって極低炭素の鋼で高温領域にしか現れない相であって、通常の刃物用の鋼材には無い相だ。
オーステナイト系の鋼材は低炭素である事や過冷却でオーステナイト相が常温でもある性質から、凝固時の偏析によってδフェライトが組織中に残る事があるらしい。
δフェライトって本質的にはαフェライトと変わらないので柔らかい。当然刃先にそのような物が出るのは好ましくはないだろう。

以前ドラさんから貰ったH1のブランクを観察し直してみる。断面を磨いて塩化第二鉄溶液でエッチングした。上下が厚み方向になる。
先ずは75倍。
確かに層状に縞模様が見える。表面とは随分様子が違う。

150倍。
肉眼での観察だとひび割れの様に見える部分があるが・・・
H1ってのはシリコロイ様な析出硬化系なのかと思っていたが、氏の記事ではオーステナイト系の鋼材で、冷間圧延する事で加工硬化誘起のマルテン化させて硬化させるらしい。
層状の組織は高い圧延によるものなのだろうか。

300倍。
H1は炭素含有量が少ないので炭化物は無いはずだ。
ひび割れに見えたのはどうやら氏の言うδフェライトらしい。フェライトは柔らかいので圧延で引き延ばされるのだろう。やや厚目に残ってる部分は点線状になる様だ。

600倍。
横の画角が約100μmになる。
δフェライトと思われる層は厚くても2μm程度の様だ。
基地はほとんどマルテンサイトと幾分オーステナイトが残った組織で、δフェライトの薄い層が重なって縞状の組織になってるんだな。
通常の刃物鋼では刃先の組織に柔らかいフェライトがあるのは熱処理不良だ。
H1は本質的に欠陥を含んでいると言えるのかもしれない。
H1は硬さはHRcで57あるのだが、実際使ってみると何だか研ぎにくいし、すぐに切れ止んで切れ味もいいとは言えない。これは炭化物が無いため耐摩耗性が低いからと思っていたが、どうやらδフェライトを含むためだったのかもしれない。
しかし用途によっては切れ味には目をつむっても、その圧倒的な耐錆性を必要とする場合もあるだろう。
要は特性を理解して使えばいい。

余談だがα、δ、Γ、θってのはFe-C状態図における相の領域を示す。
αとδはフェライト相でΓはオーステナイト相、θはセメンタイトになる。

8/5追記
新潟工業技術総合研究所にSUS304組織中のδフェライトについての記事があった。
http://www.iri.pref.niigata.jp/topics/H30/30kin7.html
http://www.iri.pref.niigata.jp/topics/H30/30kin8.html
参考までに・・・