2022年12月30日金曜日

ラムユーティリティ



ラムユーティリティ二本出来上がった。
猟仲間の使ってるラブレスをもとに作った。

大きさは約3.25incある。
ラムユーティリティって小さいイメージがあったが案外大きいんだな。

ニッケルシルバーのヒルトとホールパイプにインチサイズのラブレスボルト。
ハンドルはどちらもグリーンマイカルタでエビ茶色のスペーサーを挟んだ。
キャンバスマイカルタはいつも使う目の方向と逆に使った。この方向だと等高線がはっきり出ないので、成形がやりにくかった。

No.165が3.4㎜厚のRWL34で2.8に削り抜いた。
No.166は3mm厚のCV134をほぼそのまま使った。
RWL34はいつも通り2500番のヘアラインだが、CV134はそこまで磨けなかったので1500番のヘアラインとした。案外1500番のヘアラインもいいと思った。

ラムハンドルは工業デザイナーのトーマス・ラムがデザインしたものらしい。
インプルードハンドルやガーバーのアーモハイドなんかもそうらしい。これらのハンドルは癖のあるデザインだが、案外使ってみると手に馴染むから絶妙だ。

このラムユーティリティはハンドル背側の盛り上がりが特徴なのかもしれない。微妙な反り加減が手に馴染む。

シースはシングルステッチでもいい様な気もしたが、元になったラブレスに習ってダブルにした。
もとよりコピーのつもりはないので、自分なりの考えで作ってある。

折角なのでラブレスと並べてみた。
正確にコピーした訳ではないので、微妙な違いはある。
ラブレスは憧れではあるが、自分にとっての絶対的な理想ではない。
ラブレスのテイストを生かして、自分なりに使いやすいナイフが作れればと思っている。
 

2022年12月11日日曜日

獲物はないけど


今日の出猟。
結果はボウズだった・・・
今期は獲物が少ないのか?


途中から降りだしたみぞれは、終わりには雪になってた。
山の上はある程度は積もってくるのかもしれない。
雪が多くなれば獲物も下りてくる。もうちょっとの辛抱か・・・


 白菜とお餅を沢山貰ってきた。
獲物はなかったが、ありがたや~w

2022年11月29日火曜日

日曜の猟

この前の日曜日の出猟。
猟場の上の方から入るタツマの組に加わる。車道からそれほど下りない位置なので助かるw
タツマに着く間に寝屋がいくつかあって、獲物が下に飛び下って行ってる様だった。
結果から言うと、この日は獲物を見る事はなかった。
下の組のタツマが着いていれば、飛び下った獲物が掛かったかもしれない。ちょっと残念・・・

この日は鹿一頭だった。結構でっかい雄鹿だ。

猟仲間が鮭の塩漬けを持ってきた。釣ったものらしい。これが楽しみなんだとかw

猛犬すぎて山に連れてく事が出来ずに、いつもクルマでお留守番。
見た目は可愛いんだけどねw


近くの乳牛屋さんとこにいる仔猫が来ていた。
ネズミ捕りに飼ってるのだろうか?
ある程度人馴れしてるが、栄養状態があまりよくないな・・・



 

2022年11月18日金曜日

結果はいかに

鋼材支給のご依頼でCV134でラムユーティリテを作ってる。
前回の実験結果から、熱処理はマトリックスアイダでCRMO7の条件でやってもらった。

硬さを測ってみる。

前回の実験結果とほぼ同じだった。

そのままでは硬すぎるので焼戻す。
CRMO7の条件だと160℃の極低温の焼戻しらし。硬さが低めの鋼材や靱性の高い粉末鋼ならいいが、溶製鋼で一次炭化物が多いCV134だと靱性に問題がでそうだ。
200℃でさらに焼戻して硬さが62ぐらいにするのがいいと思う。
エンジンオイルで200℃まで加熱して2時間煮る。
仕事場の事務所でやったが、過熱中結構オイルが蒸発する。発火の危険があるので消火器を用意して換気を十分にする。野外でやればいいかもしれないが、外気温の影響が大きく温度を一定に保つのが難しい。風があると無理だ。

2時間煮たら引き上げて水冷。

加熱した油は酸化して焼き付く。

結果はどうか?

思った通りになった。
これも地道な実験と測定及び観察の結果だ。決して思いつきや勘でやってる訳ではない・・・

2022年11月16日水曜日

はじまった



昨日から猟期がはじまった。仕事を休んで行ってきた。
今猟期からライフルが使える様になった。30-30のウインチェスターM94を持って行ってタツマをやったが、この日は自分のところに獲物は出てこなかった・・・
ライフル持って行って思ったのは、えらく軽くていいなってw
なんせ12番のスラッグは無駄に大きくて10発も持ったら重くて仕方がなかったが、30-30だと20発持ってても嵩張らないし軽くていい。
銃も僅かな違いしかないはずだが、コンパクトな分で軽く感じる。
アイアンサイトのM94だが、100ⅿ程度の射程ならこれで十分な気がする。

すぐ上のタツマで終わり間際に2頭獲れた。
「一頭谷間にあるからお願い」との事で探しに行くと、まだ首をブンブン振っていたので鍛造暴威ナイフで止め刺した。

まだ雪もないので引きずって帰る事も出来ない。現場で解体して回収する。
普段は骨付きの枝肉で回収するが、量が多いので現場で骨まで外して肉だけにして回収した。
現場だと洗う事やろくに拭う事さえできないので、大抵血みどろのままシースに収めて帰ってくる。そんな使い方が現実なんだよなw

朝のうちはガスって小雨のちらちらしてたが、昼近くからはよく晴れて暖かかった。
まだ山のふもとは紅葉していている。山の木はまだ葉が付いているので見通しが今一だ・・・
初日は結局鹿ばかり7頭獲れたらしい。

もう4年目ぐらいになるんだっけ?
顔つきが精悍になってきたw

猟仲間が原さんのナイフを持ってきた。古いものらしくピラルクマークでなく筆記体だけのマークだった。(本体の画像はピンぼけだったw)
昔新品で買ったそうで、今回初めて持ってきたとの事。「原さん死んだよな?」だって・・・ご存命ですよw

というわけで猟期がはじまった。
今期も安全に事故のない様に楽しみたい。





 

2022年11月3日木曜日

りんごジャム

買い物行ったら紅玉売ってたので買ってきた。
早速ジャムを作ってみる。
一つ200g前後で、全部で1kgだった。

芯を取って皮付きのままザクザク切る。

グラニュ糖500gと混ぜて鍋で煮る。

浸透圧で水分が沢山出てくる。

弱火で煮詰めると透明感が出てくる。これで出来上がり。

湯煎したビンに詰めて完成。
いい色合いだ。
りんごジャムは簡単に出来ていいw


 

CV134


CV134での製作のご依頼があったので、熱処理条件でどう変わるのか調べてみた。
マトリックスアイダの熱処理で、CV134とATS34とCRMO7として出してみた。
色合いからしてCV134の条件はD2と同じと思われる。

先ずは硬さを測てみる。

概ねこんな感じ。
左下の条件がATS34と書かれているが、これはCV134の間違いですw

この表が正しいならば、CV134の組成からして焼入れ(オーステナイト化)温度は高目でないといけないと思っていた。
マトリックスアイダのCRMO7とATS34のオーステナイト化温度はD2の条件より40℃ほど高い。

 ちなみに生材の硬さも測ってみた。
ATS34が20前後でCRMO7は17ぐらいなので、CV134は結構柔らかめの様だ。
鉄工ヤスリでの切削は普通に出来て、800番の耐水ペーパーも掛かりは悪くない。しかし高番手になると掛かりが悪くなって研磨はしにくい様だ。この辺はS30VやS35VNに近い感じかもしれない。

生材600倍。600倍は横の画角が約100μm。横方向が鋼材の長手方向で、圧延方向になる。
多角形のものが一次(共晶)炭化物で、大きくても概ね10μmちょっとの様だ。

生材300倍。
一次炭化物は結構均一に分布している。

生材150倍。
横方向に僅かにメタルフローが見られ、圧延方向が分かる。
D2などから比べると一次炭化物は結構細かい。比較的均一に分布しているので、これが耐摩耗性に貢献しているのだと思う。思うに相当大きなインゴットを作り、高い圧延比掛けて製造していたのではなかろうか。

マトリックスアイダCV134の条件600倍。
基本的に一次炭化物は熱処理では固溶しないので、概ね生材と形状は変わらない。
熱処理で固溶するのは二次炭化物なのだが、倍率や解像度の問題で自分の金属顕微鏡では残念ながら判別できない。

マトリックスアイダCV134の条件300倍。

マトリックスアイダCV134の条件150倍。

マトリックスアイダCRMO7の条件600倍。
おそらくマトリックスアイダのCV134の条件はD2の条件と同じだと思われる。
ATS34やCRMO7はオーステナイト化の温度が高めなので、D2より40℃ほど高くなる。
心配だったのはオーバーヒートになる事だった。必要以上にオーステナイト化温度が高くなると二次炭化物が必要以上に固溶して粒界のピン止め効果が効かなくなり、オーステナイト結晶粒が粗大化してしまう。これがオーバーヒートの状態で靭性が低下してしまう。
組織を観察する限りオーバーヒートの状態にはなっていない様だ。

マトリックスアイダCRMO7の条件300倍。

マトリックスアイダCRMO7の条件150倍。

マトリックスアイダATS34の条件600倍。

マトリックスアイダATS34の条件300倍。

マトリックスアイダATS34の条件150倍。
マトリックスアイダのATS34とCRMO7の条件の違いは焼き戻しの温度にある。ATS34は高温焼き戻しでCRMO7は極低温の焼き戻しになる。
高温焼き戻しは焼き戻しの際に極小の炭化物が析出するそうだが、光学顕微鏡では観察する事はできない。
ATS34の条件で見てもオーバーヒートの兆候はないので、この範囲のオーステナイト化には問題ない様だ。
残念ながらマトリックスアイダのATS34の条件では、二次硬化の焼き戻し温度が合っていない様で十分な硬さは得られない。二次硬化の傾向はある様なので、温度設定を上手くすれば十分硬さが出るのかもしれない。

RWL34がマトリックスアイダの熱処理だと概ね
ATS34の条件  61~62
D2の条件     61~62
CRMO7の条件 63~64
となる。低温焼き戻しでの硬さの特性はCV134はRWL34と似ている。
普通にCV134として処理しても61ちょっとになるので、硬さとしては十分かもしれないが、CRMO7の条件で処理して200℃ちょっとで焼き戻しを追加でやってみるのも面白いかもしれない。おそらくその方が硬さは62程度になって、若干耐食性と靭性に有利になると思う。
さてどうしたものかな・・・