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2024年9月8日日曜日

ハーフタングの小ナイフ二本

ハーフタングの小ナイフ二本出来た。刃長約58㎜、全長約144。


ブレードは2.5mm厚のVANAX。熱処理を高温焼き戻しと低温焼き戻しで作り分けてみた。
高温焼き戻しの方は耐食性が悪い様なので、これは自分で使う事にした。VANAXは耐食性が高い様なので、悪いと言ってもATS34などよりはいいかもしれない。
低温焼き戻しの方は組織観察のエッチングからして、耐食性はとても高い様だ。
VANAXは粉末鋼の中では炭化物がより細かい。研ぎ上げて滑らかな刃付けで楽しめそうだ。
V量が多く耐摩耗性もいいが、案外高番手でも研ぎやすいかもしれない。

ハーフタングのハンドルは最大の厚みで10㎜程度と薄い作りになっている。
フォールディングナイフ的な気軽に使える事を考えて作ってる。このぐらいのサイズのナイフは案外便利だ。

ハンドルはブラックキャンバスマイカルタを使った。
部材がブレードとハンドルとピンしかない、シンプルな構造になっている。

ハンドルは型がとくにないので、その時の気分で形状を成形している。本当の事を言うと、端材のマイカルタを使っているので、その大きさにより作れる形状が決まってしまう。
ローコストを目指したモデルなのだが、作る工程は変わらないので、あまり安くもならないのが悩みどころでもあるw

No.187は自分用にする方は弾帯に通すのでベルトループを広くした。標準は45㎜のベルト幅に対応する様に作っているが、弾帯は55㎜幅あるから。
低温焼き戻しのNo.188の方は新しく作ったタレを使ったので、色がちょっと濃くなってる。


これぐらいのサイズは気軽に使えて何かと便利だ。シースナイフであってもこの大きさならば嵩張らない。シースから抜けばすぐ使えるのもいい。
最近はスケルトンハンドルが流行っている様だが、やっぱりハンドル材が付いていた方がいいと思ってる。
 

2024年8月24日土曜日

夏限定モデル

鹿角ハンドルのセミスキナーとドロップが出来た。

白骨化した落ち角の髄をくり抜いて、タングを差し込んでエポキシ接着剤を充填している。


髄の部分はエポキシが隙間なく充填されている。白骨化した落ち角は樹脂や染料が染み込みやすい。今回は染色せずにオイルフィニッシュで仕上げた。

このハンドル構成はラブレスがローンデールの頃に作ってたモデルをもとにしている。材料費が安くできるのだが、加工と製作が厄介なところがある。エポキシの充填は結構面倒で、次々浸み込んでいくエポキシを常に見張って少しずつ足して行かないといけない。エポキシの粘度が低くなる気温の高い時期が都合がいい。夏限定のモデルともいえる。


セミスキナーはコンベンショナルタイプに成形した。3.5incより若干大きい。




ブレードは3mm厚のATS34をそのまま使った。低温焼き戻しで硬さはHRcで約64ある。硬さが高くなるので、いつもより若干エッジを厚目にした。

鹿角は背側に僅かに模様を残したが、他は景気良く削った。


エポキシと仕上げの乾性油の染み込み具合で、表面は僅かに透明感のあるまだら模様になっている。自分はこれが面白味があっていいと思っている。


このセミスキナーはキリオンが若干低かったので、トリプルにはせずにダブルステッチにした。その分僅かに細身にできた。


ドロップはインプルーヴドにした。これも3.5incより若干大きい。


これも3mm厚のATS34で、同じく低温焼き戻しで使った。若干厚みのあるエッジにして、硬さはHRcで約64ある。


これも背側に僅かに模様を残した。


この妙な模様の質感が自分は好きだ。

この鹿角モデルは自分でも実用で使っている。磨き込んであっても滑りにくく手に馴染む。部材がブレードとハンドル材のみなので、構造的にもトラブルが発生しにくい。これが利点だと思っている。


シースはダブルステッチにした。インプルーヴドハンドルはキリオンがないので若干細身にできる。

セミスキナーとドロップ、どちらもそれぞれによさがある。作っていても面白味があっていい。







 

2024年7月3日水曜日

ブーツナイフ



4.5incブーツ出来た。

これの元は片山さんの持ってるブーツなのだが、フラットグラインドで作るので、大分アレンジしてある。

鋼材切り出して6年ほど放置してあった。ファイター系を作るのは7年ぶりぐらいだろうか。実用のナイフでないから使って楽しめないので、最近はあまり作ってなかった。刃付けも小刃は鈍角気味になるので、あまり切れ味もよくはない。もともと突き刺し命みたいな用途だからいいのかもしれないが・・・


ブレードはATS34で3.5mm厚に面研して使った。確か中里さんちに行って平面研削盤を借りたんだった。

熱処理はマトリックスアイダでCRMO7の条件でやってもらった。この場合低温の焼き戻しになるので、耐食性にいくらか有利になる。それと硬さが高くなるのでATS34の場合は磨きやすくていい。粘ると磨きにくい場合があるのだ。


ハンドルはデッドストック物のマイカルタを使ったら、どうやらマルーンリネンだった様だ。磨き上げたら質感がとてもいい。スペーサーは薄手のエビ茶色を入れた。

ヒルトは圧延のニッケルシルバーにインチサイズのラブレスボルトとホールパイプは真鍮を使った。


ブーツナイフと言う事で、ハンドルは薄目に成形した。


ファイターはバックべベルを見るのが好きだ。


シースはなるべく細身にしてみた。オープンシースを作ったのも7年ぶりぐらいか。プルザドットボタンは随分前に銀座のショーで多松さんから買った物だった。

ファイター系は久しぶりに作ったが、たまにはこういうのもいいねw


 

2024年6月2日日曜日

スタンダードモデル

三本完成。今回は標準的モデルのシリーズ。

先ずは3.5incフィールド&ストリーム。細身で鋭いブレードは汎用性があって好きだ。ケーパー的なブレード形状なので、案外四つ足の狩猟にもいいのかもしれない。


ブレードはRWL34を高温焼き戻しで使った。元厚は3.5㎜あるが、削り抜いて実質2.7㎜のブレード厚になってる。

ハンドルはタンキャンバスマイカルタにエビ茶色のスペーサーを挟んでいる。ヒルトは圧延材のニッケルシルバーに、インチサイズのラブレスボルトと真鍮のソングホールパイプをあえて使っている。


ハンドル前端は絞って、後半はややボリュームを持たせた形状にしている。


シースはなるべく細身にダブルステッチにした。


次は3incセミスキナー。自分では一番よく作ってるモデルかもしれない。


これもRWL34で高温焼き戻しで使った。3.5㎜厚を削り抜いて実質2.6㎜厚としている。


ハンドルはレッドリネンマイカルタ。赤いハンドルなので黒のスペーサーを挟んだ。フィッテイングはF&Sと同じ。




これも前端は絞って後半はボリューム持たせたハンドル形状にした。


トリプルステッチにしたので、大きさの割にやや嵩張った感じになってしまったか・・・?


最後は3.5ncセミスキナー。やや大きめになるが、狩猟以外でも汎用性があって使いやすい。自分は好きなモデルだ。


これもブレードはRWL34を高温焼き戻しで使っている。元厚3.3㎜で背側を削り抜いて2.7㎜厚にしている。


ハンドルはグリーンキャンバスマイカルタを使った。スペーサーはエビ茶色を挟んだ。フィッテイングは上記二本と同じ。似た仕様を作るには、自分の場合は三本程度が効率がよくちょうどいい。それ以上になるとかえって効率悪くなる・・・


これも前端は絞って後半はボリュームを持たせいるが、身幅がある分であまり厚さを感じない。

これもトリプルステッチで作った。シースの長さはF&Sとほぼ同じだが、縫った糸の長さはちょうど1m余計に使った。

今回は久しぶりにスタンダードなモデルを作った。慣れてるせいか、これは作りやすくていいねw

 

2024年4月13日土曜日

三本完成



三本出来上がった。

今回はハーフタングのシリーズ。三本ほぼ同じ大きさで、3.5incよりちょっとおおきいので、呼びは4incとしておく。


先ずはドロップ。

ブレードはスーパーゴールドⅡを使った。
4㎜ちょっとあった鋼材を背側を削り抜いて、ブレードは実質3㎜程度にしている。

ハンドルはグリーンキャンバスマイカルタの厚物。ラブレスボルトはインチサイズで、ソングホールパイプは真鍮を使った。

これの面白味はフィンガーグルーブがあるところだろうか。
ラブレスの本物のハーフタングのモデルはもうちょっと薄い形状なのかもしれないが、厚物のマイカルタを目一杯使ってボリュームを持たせた形状にしている。

キリオンが低いので、シースはやや細身にできた。

二本目はユーティリティ。


これもブレードはスーパーゴールドⅡ。ドロップと同じ鋼材から取った。これも背側を削り抜いて3㎜程度のブレード厚としている。
スーパーゴールドⅡは物によって磨きにくい事がある。今回も磨きにくい物だったので、ドロップとこのユーティリティの仕上げは1500番のヘアラインとした。

ハンドルもドロップと同じくグリーンキャンバスマイカルタ。
インチサイズのラブレスボルトにソングホールは真鍮を使った。

これもハンドル材の元の厚みを目一杯使った形状とした。

シースは標準のダブルステッチ。

三本目もユーティリティ。鋼材とハンドル材支給による、自分にしては珍しい御注文による製作。


これはブレードにELMAXを使った。4㎜程の厚みなので、これも背側を削り抜いてブレードは実質3㎜程度としている。

ELMAXも磨き難い鋼材なので、仕上げは1500番のヘアラインとした。

ハンドルはアイアンウッド。インチサイズのラブレスボルトに、ソングホールは真鍮を使った。

アイアンウッドでハーフタング構造にするのは、上手く溝が切れるかが心配だった。やってみたらマイカルタそれほど変わらず加工できた。

溝切ると開いて隙間ができるか?とも心配したが、これも大丈夫だった。経年変化が心配ではあるが、アイアンウッドならば案外平気なのかもしれない。


これもボリュームを持たせた形状に成形した。

ハーフタングって結構軽くなるのだが、今回作った三本は鋼材元厚が4㎜程度だったので、ハーフタングにしてはやや重い作りになってしまった。タングに肉抜きすればよかったのかもしれない。


これもシースはダブルステッチで。
ラブレスが使っていたという革を使っている。ブルハイドのダブルショルダーで、銀面が強固でヘタリにくい。国産から比べるとえらく高いが、それだけのけの価値はあるw