2020年9月29日火曜日

磁石にくっ付く?

ちょっと思いつきで実験をやってみる。

用意したのは温度計

熱電対のセンサーに鉄片が付けてある。鉄片にくっ付いてるのは磁石。

加熱してみて磁気変態点のキュリー点で磁石が吸着しなくなるってのを見てみたくなった。


プロパンバーナーで加熱する。
頑張って加熱してみたが、760℃までしかいかないな・・・
鉄のキューリー点は約770℃らしい。

磁気変態は漸進的に起こり、770℃で急激に変化するそうだ。

確かに加熱していくと徐々に磁石の吸着力が弱まり、760℃では僅かに吸着する程度になった。

もうちょっと加熱できれば吸着しなくなるんだろうか・・・

プロパンバーナーだとこのぐらいの温度になると均一な加熱が難しい。

今度は七輪でも使って炭火でやってみるかw


ところで磁気変態はオーステナイト相に変態するからではないそうだ。相変態の様な結晶構造の変化によるものではない。

それよりも根本的な原子内のエネルギーによるものらしい。磁性の原理を考えれば確かにそうだ。

ここで不思議なのは304の様なオーステナイト系ステンレスだ。これらは常温で常磁性(磁石に付かない)だ。

これもよくよく考えると、オーステナイト系ステンレスはオーステナイト相が過冷却によって常温でも保たれているのであって、この状態はエネルギーが高い状態にある訳だ。

オーステナイト系ステンレスは叩き潰したり折り曲げたりといった加工を施すと、マルテン化して磁石にくっ付く様(強磁性)になる。これはマルテン化する事で原子内のエネルギーが低い状態になるからなんだな。

鉄のキュリー温度は溶け込んでる炭素や合金元素によってほとんど変わる事はなく、約770℃で一定らしい。

やや炭素量の多い過共析鋼の焼入れ温度を判断するには、磁石を使うのは確かにいい方法なのかもしれない。


2020年9月22日火曜日

国道49号線

東北のナイフメーカーの集まりがあって山形に行ってきた。
その帰り道の途中、思い付きで国道49号線を太平洋側から日本海側に行ってみる事にした。
太平洋側に着いたのは昼頃だった。

昔務めていた会社は須賀川に工場があって、新入社員の頃研修でしばらくいた事があった。
その頃須賀川からいわきに行ったり、新潟の方へ49号線で遊びに行った事はあったが、端から端まではさすがに走った事はなかった。


須賀川の工場の先輩社員達は「正月の初日の出を太平洋側で見て、49号走って日本海側で夕日を見るんだw」と言っていた。
昔は道もよくなかったから一日掛かって走ったのかもしれない。
途中昔ながらの山道はあれど、今は道も大分よくなって走りやすい。

とはいえ日本海側に着いたのは、とっくに日が暮れてからだった。夕日が見れなかったのは残念・・・
250㎞ぐらいの道のりで、大体5時間ちょっとで太平洋側から日本海側に行ける様だ。
今なら磐越自動車道を使えば3時間ぐらいで行けるか。
でも景色を眺めながら下道をぷらぷら行くのが楽しいw

何やってんだ?
 

2020年9月12日土曜日

とりあえず一本

シース出来て刃付けして、とりあえず一本完成。

2.5incセミスキナー。

ブレードは亡くなった武生の浅井さんが打ったR2で刃厚は約2.5㎜。


ハンドルは和鹿の白骨化した角を漿鉄で染めてみた。いい感じに染まったが、ちょっと黒すぎるか?・・・

ピンはいつもなら削り飛ばすが、なんとなくリベット風にかしめてみた。たまにはこんなのもいいかw




ちょっと残念だったのは、ハンドルの合わせ目に接着層が目立ってしまった・・・

鹿角でコンシールドタングの構造には、なかなか厄介だ。湿気の多い夏にはやるもんじゃないな。

若干心金が寄っていたので、表裏で模様の雰囲気が違う。

模様の出方見て調整すればいいのだが、そうすると形状に違いが出てしまい、また雰囲気が違う原因になる。この辺は難しいところだ・・・



 なんとなくダブルステッチにしてみたが、無用にごつくなって何だかな・・・

小さ目のモデルなので、シングルステッチで細身に作って、軽快さを出した方がよかったかもしれない。

実用ではこれぐらいの大きさが、色々使えて重宝する。狩猟だけでなく日常で適当に使うのにいいと思う。

2020年9月3日木曜日

鹿角コンシールドタング



気分転換に一年ほど放置プレイになってた、鹿角コンシールドタングの二本を仕上げてみる事にした。

なんで放置していたかというと、ハンドル張り合わせが今一で接着層がちょっと目立ってしまったから。

この手の構造は湿度の多い夏には作らない方がいいな・・・


いつもなら削り飛ばしてしまうピンの頭を、なんとなくリベット風にかしめてみたくなった。

ハンドル最後まで研磨し終わってからピンを留める。

ピンの両端は半田ゴテを使って先端だけ焼鈍しておいた。

ピンは線引きして作っているので加工硬化している。先端を半田ゴテで焼鈍しておくとかしめる時に割れなくていい。

ピンは全部焼鈍してしまうと強度が下がるので半田ゴテを使っている。ガスバーナーでやると全体が柔らかくなってしまう・・・

ちなみにこれはヒルトのピンをかしめる時にもやっている。

自分は真鍮かニッケルシルバーしか使わないが、これら銅合金の再結晶温度は200℃ちょっとなので、ワット数の大きい半田ゴテを使えば十分焼鈍す事ができるのだ。

慎重に叩いてかしめていく。結構厄介だ・・・
かしめていくと硬くなっていく。たまに半田ゴテで焼鈍してやる。
なんとなくそれらしくかしめることが出来た・・・?


あとはコンパウンド使って手で磨く。


 鉄漿もどきで染めた鹿角だったが、案外いいかもしれない。

必要以上に深く染まらないのでいい感じだ。

やや黒すぎる感があるが、改良したやり方だと、もうちょっと赤身が掛かっていいかもしれない。

但し白骨化した鹿角でないと上手く染まらないと思う。生角の場合は一回煮るか漂白してから油分を抜かないと染まらないんじゃないかな・・・