2021年5月30日日曜日

3incセミスキナー

3incセミスキナー二本出来上がった。

ブレードの鋼種は違えど、ほぼ同時工程で作ったから兄弟ナイフだな。熱処理の窯も同じだしw


グリーンキャンバスマイカルタのハンドルの方はRWL34を使った。


3.5㎜厚の鋼材を背側を削り抜いて、実質2.8㎜厚にしている。

RWL34はいつもだと靭性重視で高温焼き戻しの条件でやっているが、今回は硬さ優先で低温焼き戻しの条件でやってみた。そのためエッジ厚はいつもより若干厚目にしてある。


等高線の模様があまりはっきり出なかったが、粗いキャンバスは使い込むと繊維が浮いてきて、手に馴染む滑り止めになるのがいい。
無駄にトリプルステッチに・・・

このサイズのナイフなら、シングルステッチでコンパクトに作るべきかもしれない。でもシースは頑丈な方がいいw


もう一本はタンリネンマイカルタハンドルの10C28Mo2のブレード。


3.0㎜厚の鋼材で、僅かに削り抜いて実質2.7㎜厚にしている。
10C28Mo2はCRMO7と組成はほとんど同じらしいが、10C28Mo2の方が若干硬さが出る様だ。概ねHRcで1程高くなる。

タンリネンマイカルタは、はっきりした模様が出ていい。
焼けてくる質感もよく、経年変化が楽しめる。

刻印を間違えて逆に打ってしまった・・・
手元に残ったら自分で使おうw
 

2021年5月5日水曜日

本を読んでた


ナイフ鋼材オタクの本、やっと翻訳終わってやっと印刷できた。
初めのうちはグーグル翻訳に手で打ち込んで訳していたが、調べたらグーグルアカウントを持っていれば「ドライブ」の中でpdfファイルを開くとテキストを抽出する事ができると分かった。
仕事場にいる時はスキャナーがあるので1ページづつpdfで取り込んだが、自宅にはないのでカメラで撮ったjpgを変換サイトでpdfにダウンロードして、なんとか全て翻訳する事ができた。
本が分厚いのでスキャナーで取り込むと、見開きの端が上手く読み込めない事があった。変換の手間はあったが、カメラで撮ってやった方が案外確実だった。
しかし行間でスペルが飛ぶとテキスト抽出が認識できないので、そこは手で修正しないといけないので、結構手間が掛かった。途中でスマホを入手したので、カメラ機能で取り込んで翻訳してみたが、これも行間スペルが飛ぶと認識できないので、上手く翻訳できない様だった。
翻訳サイトはいくつか試してみたが、工学的専門用語はグーグル翻訳が一番よかった様に思う。
全て翻訳するのに約一か月かかって、それを一度読んで校正して印刷するのにさらに一か月かかった・・・


「エッジの形状がナイフの性能の最も重要な要素である・・・」とあったが、確かにそうだよな。
ナイフの構造から始まり鋼材と熱処理について、非常に分かりやすく解説されてる。
但し工学書にはよくある事なのだが、書かれてる事は全て正しいと思わない方がいい。必ず他の書籍を読むなどして確認をした方がいい。
一つ残念に思ったのは、一次(共晶)炭化物についての記載が少なく、何故それが発生するのかについては言及がなかった。確かブログにはあった様に思うが、本にまとめた時に抜けたのだろうか・・・
一次炭化物は高合金鋼の最大の特徴だし、PM鋼が何故必要だったかもここにある。改版するならば、是非ともほしい項目だと思った。

読んでいて著者は鍛造について否定的に書いているのが不思議だったが、最後まで読んでようやく分かった。
海外だと製鋼メーカー出荷の状態で十分圧延の掛かった鋼材を使ってるからなんだな。
鍛造する事を前提とした刃物鋼を使う、日本の鍛冶屋さんとは事情が違う様だ。
組織写真のページに鍛造していないと思われる青紙スーパーが出ていたところからも、なんとなく理由が分かる。
海外だとある程度組織の調整された鋼材を使って、鍛造は形状成型に主眼を置いているのかもしれない。
それと鍛造後の焼きならし、焼鈍しについても、認識の違いなんだろうけど疑問に思うところもあった・・・
いずれにしろ書いてある事は非常に面白い。読んで損のない本だと思った。


4日間の連休だったが、3日間は本を読んでて家から一歩も出なかった・・・
一日だけ出かけた時に、友人から包丁を研ぎ直すので預かってきた。
十数年前に鉄工ヤスリで削って作った物だ。
上は同じ形で作った自分の家で使ってる物。手で研いでこれだけ減ってしまっていた。
ここまで小さくなってたとは・・・w