2022年9月26日月曜日

ラブレスのシース



鹿猪の四つ足猟で長年酷使されたものだが、意外とシースはしっかりしている。
猟の現場ではろくに拭う事もなく、血糊の付いたままシースに収めてる。
いくらか沈み込んでしまって抜き差し方向には若干ガタがあるが、横方向のガタはなく差し込めばしっかり固定される。
おそらくハンドル後ろ側のボルトが僅かにシースに隠れるかどうかのところが正規の位置だったのだと思う。沈み込んではいるがエッジの先端と中子の間には余裕があって、エッジが中子に当たってはいない。

シースを腰に付けて使っていると、抜き差しは目視はせずに手探りになる。
長年使っていると指す時にどうしてもエッジで傷をつけてしまう。

ラブレスは案外毛羽立った床面の革を使ってる事がある。
毛羽立った床面は血糊の付いたまま収めても張り付く事がない。エッジで切ってしまっても傷が目立たない利点もある。
内側に銀面を張ったシースは自分は実用には疑問に思っている。

ラブレスのシースはブルハイドのダブルショルダーを使っているらしい。
銀面が非常に丈夫で伸びにくいが、床面はしなやかなのが特徴。ポーチタイプのシースは革の弾力でナイフが抜けない様に保持しているのだが、一般的なヌメ革は銀面の伸縮もあって全体的にフニャフニャと剛性がない事が多い。
ダブルショルダーは銀面は伸縮は少なく、床面のしなやかさで保持する様になっている。そのためシース全体の剛性は非常に高く型崩れしにくい。

日本のカスタムメーカーは中子をテーパーに加工して使う人が多いが、ラブレスはテーパーにはしていない様だ。
表側はダブルステッチだが裏はシングルになっている。これはミシンで縫ってるため厚みとベルトループが邪魔になるためそうしているらしい。よく見ると裏面側の接着の剥離が見られる。やはりできる事なら内側のステッチも裏表通して縫った方がいい様に思う。縫い締める事で強度も上がると思う。

中子は5㎜程度のベンズを使っている。
カスタムメーカーの一部はナンポウと呼ばれる合成皮革の靴底材を使う人もいる。
ベンズもナンポウも一長一短があるのだろう。

中子側より折り返し側の方が薄い作りになっている。断面は逆テーパーになるんだな。
なるべく嵩張らない様にと、収めてもガタつきがない様にしているのだと思う。

 

長年酷使していても、特別手入れはしていない様だ。
革はコラーゲン繊維が絡み合った構造になっている。繊維の潤滑のために油脂が必要になる。
おそらくこのシースも油脂が十分に染み込ませてあるのだと思う。
古いナイフのシースでカサカサになってしまうものをよく見るが、染み込ませてある油脂の問題もあるのだと思う。油脂は酸化しにく抜けにくいものを使う必要がある。
乾性油を使って繊維を固める事でヘタリにくいシースにする方法もある様だが、繊維を固めてしまうのは限界を超えて変形した時、絡み合った繊維が切れてしまう事がある。シースに硬化剤や乾性油で固めるのは自分は疑問に思っている。

ラブレスのシースを見ていると所謂レザークラフトとは違う様な気がする。
美しさや作りの丁寧さというより、実用を重視して道具である事に徹して作っていたのだと思う。





2022年9月19日月曜日

二本完成



ケーパー。ケーパーにしては微妙な気がするが、元が相田さんのデザインなので、そういう事にしている。
形状的にはシティナイフに似ているが、ハンドルの背側がお尻にかけて微妙に盛り上がってる形状が、意外と手に馴染んでいい。絶妙なデザインで自分は好きだ。

ブレードは3㎜厚の10C28Mo2を削り抜かずに使った。この方がベベルストップの形状が作りやすくていい。
カーブの緩いエッジは先端が鋭く、案外魚釣りに使うのもいいのかもしれない。
細身の鋭い切先は確かにケーパーとして細かい皮剥ぎに使うのも悪くはない。

ハンドルはブラックキャンバスマイカルタにエビ茶色の薄いスペーサーを挟んだ。
ヒルト、ピン、ソングホールとも、全てニッケルシルバーに揃えた。

シティナイフ風にヒルトにチェッカリングを入れてみた。

大きさが絶妙で、自分でも気に入っている。特にハンドルの形状がいい。持ち上がったお尻がなんともいいんだなw

シースはなるべく細身になる様に作った。

2inc小ナイフ。自分でデザインした中では一番気に入っている。昔はよく作ったが、ここ数年は全く作っていなかった。

ブレードは亡くなった武生の浅井さんが打ったR2。今となっては貴重かもしれない。
片側十数層の積層鋼だが、心金はSPGⅡなのでよく切れる。厚さは2.5㎜にしてある。

ハンドルはブラックキャンバスマイカルタで、タングは突き刺して接着するだけで、ピン留めなどはせずシンプルな構造とした。強度的にはこの構造で十分だ。
フルタングやコンシールドよりは接着剤の剥がれの心配は少ない。
スペーサーを入れようか迷ったが、この方がシンプルでよかったと思う。
ヒルトとソングホールはニッケルシルバーにした。

意図してハンドルは短めにして、ハンドル後端を掌で包んで使う様にデザインしてある。
様々な持ち方ができる様に、なるべく簡素な形状にとも考えている。
これと同じモデルは狩猟をやりはじめた頃に、散々鹿や猪の解体使っていた。案外このぐらいの大きさでも十分に四つ足の解体には使える。むしろ大きすぎるナイフは使いづらい。

シースはなるべくコンパクトに作った。
ベルトに通して腰に付けるより、そのままポケットに入れて使うのがいい。
フォルダー並みに手軽に使える事がコンセプトの一つでもあった。

薄刃のR2はよく切れて長切れする。
自分も日常でよく使っている。
なんて事はないモデルだが、自分はこういったナイフが好きだ。

2022年9月4日日曜日

いい雰囲気

猟仲間と射撃に行ってきた。
30-30のウインチェスターM94を撃ちたかったが、屋内射場で標的の場所の照明が暗くてオープンサイトでは狙いが付かないので、308のサコーのボルトだけ撃ってきた。弾はラプアの155グレイン射撃用。
先週の射撃の感触から、レクティル調整を左と下に1クリックづつ動かした。
100mの委託で5発撃った。的紙はぐぐった拾い物で直径187㎜。
左から2番目が同痕。ややバラつきが大きいが、まだ右上寄りの着弾だ。

レティクルの調整は1クリックで100ヤード先の着弾点が1/4inc動くらしい。100mなら7㎜ぐらいか?
左に7クリック、下に3クリック動かした。
一番右が同痕の様だ。まあまあのとこまで行ったか・・・

さらに左に2クリックと、上下は調整なし。
終わり間際で急いで撃ったせいか、バラつきが大きくなった。
左に寄ったから、1クリック右に戻すか・・・
上下はまた今度50mと比べる事にしよう。

12番のスラッグだと100mは大きくドロップするしバラつきも大きかった。弾によっては横転弾気味にもなっていて、100mはただ届いてるって感じだった。
ライフルならちゃんと狙える。この違いは大きいな。

猟仲間が使ってるラブレスを借りてきた。
使い込んだラブレスの質感はなんとも言えぬ良さがある。
こういう雰囲気が出るナイフを作りたい・・・