2023年9月26日火曜日

VG10の小ナイフ


小ナイフで来た。形状はこの前作ったのとほぼ同じ。


今回のブレードはVG10を使った。厚みは約2.5㎜。
VG10は磨くとムラムラ模様が出てくる。生材の800番の研磨で見えるぐらいだったので、ブラスト仕上げにした。


ハンドルはブラックキャンバスマイカルタ。
ニッケルシルバーのヒルトにソングホールパイプはあえて真鍮を使った。

タングの構造は突き刺し(ナロー?)だが、いつもとちょっと構造を変えた。
ハンドル端部に横フライスで溝を切って、タングの一部が嵌る様にした。
これはヒルトを横フライスで溝切して使うため。
縦フライスは持ってないので、突き刺しタング構造の場合はヒルトはヤスリで加工していた。これが結構面倒なので工程簡略化を考えた結果だった。
一部タングの露出ができるが、この構造の方がハンドルの加工と接着にも都合がよかった。

ハンドルはあえて短めにして、掌にすっぽり収まる様にしている。
このモデルは自分でも好きで、以前はZDP189で作ったのを使っていた。鹿猪もこれ一本で十分に解体できる。

小さ目のナイフなのでシースは普通ならもっと薄い革で作るべきなのかもしれないが、あえて通常使ってるブルハイドのダブルショルダーで作ってる。
大きさ的にベルトに通さずに、そのままポケットに突っ込んでいてもいいと思う。そのためにもしっかりしたシースであるべきだと思ってる。

これも安来に持って行きますw
 

2023年9月12日火曜日

安来に持ってく


ラムユーティリティ出来た。
形状はこの前作ったのとほぼ同じだが、微妙にハンドルの削りを変えてみた。

ブレードはRWL34を高温焼き戻しで使った。

ハンドルはタンキャンバスマイカルタにエビ茶色の薄いスペーサーを入れてある。
インチサイズのラブレスボルトと、ヒルトは圧延材のニッケルシルバーにパイプは真鍮を使った。

元厚3.4㎜を削り抜いて薄いブレードとしている。実質ブレード厚は2.7㎜程度。
エッジもかなり薄く作った。用途的に乱暴に使うモデルではないので、割り切って切れる事を優先している。

シースはダブルステッチだが、なるべくコンパクトにした。
ブルハイドのダブルショルダーの革はレザークラフト用の革と違って、言ってしまうと銀面は美しくはない。しかし道具としての素材と考えれば、これに勝るものはない。

今度の安来のナイフショーに出る事になった。4年前に一度出たが、その後コロナの影響などで刃物まつりは中止になってた。
テーブル料安いし交通費の補助も出るので、ちょっと遠いが折角のお誘いなので行ってみる事にした。

今までと比べると刃物まつりの規模は大分コンパクトになった感じ。会場は和鋼博物館周辺にまとめられてる。
日立金属が買収によってプロテリアルに変わってどうなるんだと思ってたので、その辺の様子も見てきたい。
本当は前日に工場見学があるので行きたかったが、さすがにちょっと無理だった・・・残念w
 
ナイフショーもコンパクトだw
関の刃物まつりと重なっているので、出るナイフメーカーが少ないのも仕方がない。

とりあえずラムユーティリティを持って行く。
あとは2本出来ればいいけど、どうなるのか分からないw
お近くの方は是非お越しください~

2023年9月4日月曜日

15歳になった

工場長のめいは昨日で15歳になってた。
2008年の9月3に保護したので、その日を誕生日としていた。お医者に掛かる時に誕生日が必要だったから。
仔猫の時と比べると、鼻の黒いボッチが大きくなったなw

あんこがいた頃はお互いよくじゃれ合って遊んでいたが、一人になってしまってからは日中動き回る事が少なくなった。その代り夜中は家の中を動き回るみたいだ。基本夜行性なんだなw


日中は仕事場の事務所勤務で、夜は上の自宅に帰る生活をしている。
接客係として働いてもらっているw
 

2023年9月2日土曜日

二度焼入れする

magnacutの実験の続。
前回マトリックスアイダで、ATS34の条件、CRMO7の条件、magnacutの条件(D2か?)、で熱処理したものを再度マトリックスアイダでCRMO7の条件で熱処理した。
通常二度続けて焼入れするとオーステナイトに過剰に炭化物が溶け込んでオーバーヒートの組織になりやすい。
しかしもともとオーステナイト化の温度が足りないのなら、二度焼入れする事で適正状態に近づけるのではないかと考えた。

とりあえず硬さを測定してみた。

二度焼入れする事で確かにいくらか硬さは上がったが、思ったほどではなかった・・・
前回ATS34の条件が56.9だったので、硬さが上がる事は間違いない。しかしそれでもまだオーステナイトに固溶する炭素量は十分でないのかもしれない。


組織を観察しようとエッチングしたのだが、何故かなかなか腐食しない。
一回目の熱処理では普通にエッチングできたのだが、二回目はえらく腐食しにくかった。
もしかしたらCrの基地への固溶量が増えて耐食性がよくなっているのかもしれない。
そうだとするとオーステナイト化温度が足りないのは、硬さの問題だけでなく耐食性にも影響があるのかもしれない。

以下に組織観察した結果を貼る。
600倍の横の画角は約100μm。
エッチングに手間取って何回も研磨しなおさないといけなかった。研磨状態が悪くて今一な写真だが勘弁してほしいw
一回目ATS34の条件→二回目CRMO7の条件、600倍。

一回目ATS34の条件→二回目CRMO7の条件、150倍。

一回目CRMO7の条件→二回目CRMO7の条件、600倍。

一回目CRMO7の条件→二回目CRMO7の条件、150倍。

一回目magnacutの条件→二回目CRMO7の条件、600倍。

一回目magnacutの条件→二回目CRMO7の条件、150倍。

参考までに。
magnacut生材、600倍。

magnacut生材、150倍。

三通りの熱処理条件になったが、概ねどれも大きな違いはなかった。
写真では研磨状態が悪くてはっきりしないが、基地の異常な粗大化や炭化物の溶け込みすぎは観察のかぎりでは見られなかったので、熱処理としては適正の範囲なのだと思う。

ATS34→CRMO7の順はATS34の条件が高温焼き戻しなので、若干マルテンサイトからの炭素の吐き出しがあるため、僅かに硬さが低いのかもしれない。
CRMO7→CRMO7とmagnacut(D2?)→CRMO7の条件は誤差の範囲だと思う。
CRMO7の条件を二回続けるのが現実的な気がするが、はたして費用対効果を考えるとどうなんだろうか・・・
硬さだけで考えれば僅かに0.6~0.7程度の上昇しかないが、耐食性にはいい結果が得られるかもしれない。
究極的にはソルトバスで適正のオーステナイト化温度と保持時間を指定して、冷却も歪みを覚悟して油冷でやるべきなのかもしれない。
しかし肌荒れや薄く作る事ができないのであれば、やはり真空炉でやるしかない。
magnacutって厄介な鋼材だな・・・