2024年1月26日金曜日

ハンドル違いで

もう一本ハーフタングの小ナイフ出来た。

ブレードの型はこの前のハーフタング小ナイフと全く同じ物を使った。ハンドル形状だけ変えてみた。なのでサイズはほぼ同じ。


ブレード材も同じく10C28Mo2を使った。仕上げも800番のヘアライン。


ハンドルはグリーンキャンバスマイカルタ。

キリオンの付く形状にしてみたが、ハンドル材の都合で一番厚い部分でも9㎜ちょっとしかなく、かなり薄いハンドル形状になった。

あと2~3㎜程厚みがあった方がいい気もするが、まあこういうのもありなのかもしれない。


シースは無駄にゴッツイ気もするが、これだけは手を抜けない。なかなかローコストというのも難しいものだな・・・

元の小ナイフと比べてみる。

一回り小さく薄いので、これもまた違った面白味があっていいかもしれない。







 

2024年1月21日日曜日

ウィンチェスターの造り

今日は猟に行かなかったので、鉄砲の手入れをした。

ウィンチェスターセンチネル66と言う名の銃だが、実際はM94でウィンチェスターが100周年の時にM66に似せて作った物らしい。58年前の銃なんだなw

年数は経っているが、ほとんど新銃の状態だった。銃砲店の社長は「実弾撃てる本物のモデルガンだ」と言っていた。確かにそうだなw

撃鉄のピボットのネジを外したら、引き金がユニットごと分離した。別パーツになってたとは気がつかなかった。

米国のサイトを見てるとウィンチェスター社は1964年以降は製造法が大幅に変わったらしい。これの機関部は粉末冶金でできているらしい。

おそらく64年以前は機関部や主要な部品は鍛造品を削り出していたのだと思う。

センチネル66は観察すると機関部や内部のいくつかの部品はニアネットシェイプの粉末冶金で作られている様だ。後加工を少なくしてコストダウンになるのだろう。

但し公差が大きめにしなければいけないので、作りとしては微妙な所がある。プレ64なんて言われるが、そんなところに原因があったのかもしれない。

機械部品の粉末冶金は刃物鋼の様なHIP処理をしないので、強度は鍛鋼と鋳鋼の間ぐらいなのかもしれない。エングレーバーの竹内さんの話ではウィンチェスターはとても柔らかかったそうだ。多分粉末冶金によるものだったのだろう。


実際摺動部には結構ガタがある。
しかし実用上全く問題はない。
現在米国で販売してるウィンチェスターのモデルは日本のミロクが作ってるらしい。動作が非常に滑らかなんだとか。アングルエジェクションで機関部の真上にスコープが付けられる。国内で販売してくれたらなぁ・・・

微妙に銃身のネジ込みが過ぎていて、機関部に対して照星が左に傾いている。使ってる分には全く気にはならないが、こういったところもプレ64との違いなんだろか・・・


30-30だとオクタゴンバレルは無駄に分厚く重いw
しかしヘビーバレルで案外命中精度が良くていいのかもしれない。
ガンブルーもきれいで、機関部の金メッキとよくあってる。
本物のモデルガンだと思えばいい銃だw

 

2024年1月20日土曜日

ハーフタングの小ナイフ

ハーフタングの小ナイフが出来た。全長約143㎜、刃長約57㎜で、いつもの小ナイフより一回り小さい。

ローコストに出来ないものかと考えて作ってみたが、手間はそれ程省けるものでないので、なかなか難しいと思った。

ブレードは10C28Mo2の2.5mm厚をほぼそのまま使った。
ヘアラインはいつもなら2500番としているが、これはあえて800番にしてみた。
案外このぐらいの粗いヘアラインもシャープな感じでいいと思った。
10C28Mo2は耐摩耗性の違いと思うが、2500番のヘアラインだと引くのが結構難しく、なかなかきれいな仕上がりにならない。耐食性のいい鋼材なので、粗目のヘアラインでいいのかもしれない。

ハンドルはブラックキャンバスマイカルタで、ニッケルシルバーのピンを打ってある。

あえてソングホールはパイプを通さなかった。

ハンドルは厚い部分で10㎜程度と、自分にしては結構薄目に作った。


シースはなるべくコンパクトに作った。チューブシースの方がいいのかもしれないが、自分は好きでないのでポーチタイプでw


フォールディングンナイフみたいに気軽に使えるシースナイフを・・・と思って作ってみた。
案外シースナイフも悪くないと思うw



 

2024年1月19日金曜日

残留オーステナイト


 前回高温焼き戻しについて考察した。あの後も色々考えてみた。
高温焼き戻しの利点にはもう一つある。残留オーステナイトがほぼ無いという点だ。
高温焼き戻しは焼き戻し中に微細な炭化物の析出がある訳だが、この時の炭素拡散で残留オーステナイト中の固溶炭素量が減少して、Ms点が上昇する事で焼き戻し後の冷却でマルテン化するそうだ。焼き戻しを数回繰り返すのもマルテン化した分を焼き戻す意味合いがあるらしい。完全ではないのかもしれないが、高温焼き戻しが残留オーステナイトが非常に少ないのは確かなのだろう。

低温焼き戻しの場合、通常サブゼロをしても20%前後のオーステナイトが残るそうだ。
残留オーステナイト自体は延性があるので、硬さの影響がない程度に有る分には靭性に有利に働く可能性もある。
しかし残留オーステナイトは応力が加わると加工誘起のマルテン化する事がある。刃先の様なミクロン単位の領域だと、物を切ってる時や刃先を研ぐ時は結構な応力が繰り返し掛る事になる。マルテン化した場合硬さが上がるが、焼き戻しされていない事になるので問題がある様に思う。
以前ブログで紹介したが切れ味には回復という現象があるらしい。(リンクが切れているのでこちらから「安全剃刀の切味と恢復」
回復の現象は残留オーステナイトも関わっているのではなかろうか。
ナイフマガジンの2014年の12号に精肉屋さんの取材記事がある。これには「1本を使い続けると金属疲労のような現象が起こるのか・・・」とか「刃物は研いでからちょっと休ませたほうが刃の調子がいい・・・」っていう記載がある。これも回復の現象なんだと思う。

もう一つ残留オーステナイトは加工誘起のマルテン化した場合膨張するが、この膨張が亀裂を閉じる様に作用して亀裂の伝搬を防ぎ、疲労破壊をしにくくする場合があるらしい。
残留オーステナイトは条件によっては有った方がいいのかもしれない。しかしその場合どの程度の量がいいのか、その条件とはどういった状況なのか・・・果たして刃先の様なミクロン単位の領域では非常に難しい問題だ。

結局のところ有っても無くても決定的な違いがないのならば、高温焼き戻しで残留オーステナイトが少ない方がいい様に思えてきた。
但し耐食性は不利になる。高温焼き戻しで析出する炭化物によって、基地に固溶しているCrが食われるから。RWL34で高温と低温の焼き戻しで使った場合、僅かに高温の方が腐食しやすい様に感じられたが実用上は全く問題なかった。
硬さが必要ならば低温焼き戻しにすればいい。そんな使い分けでいいのかもしれないな・・・










2024年1月9日火曜日

にらめっこ


この前の日曜の出猟。
山の上の方は雪が積もってきたらしい。獲物も降りてきた様なので、一番下の猟場を囲う事になった。但しいつもとは勢子は逆の方から攻める作戦だ。ちょっと勝手が違うのがなんとも・・・
今回入ったタツマは何度か来た所だが、今一獲物が何処を通るのか分からない。多分この辺にいればいいだろうと決めてタツマに着く。
まだ勢子が動き出したかどうかの頃に、下の方のタツマで銃声が聞こえた。鹿が二頭獲れたらしい。

朝から少ないながらも降っていた雪は次第に弱くなって、代わりに風で吹き上げられて地吹雪の様になってきた。
まだ勢子が遠い中盤にすぐ上のタツマから「下りてくぞ、警戒」と無線が入る。
この日はレバーアクションのm94を持ってきた。撃鉄を上げて来るのを待つ。
てっきり谷底を来るのかと思っていたら、10mあるかどうかの真横から鹿が首を出した。その方向は死角になって来るのが見えなかった。角の細い若い雄鹿だ。
鹿とバッチリ目が合った。そのまま目を合わせたままに、ゆっくりと銃を構えてオープンサイトの照星と照門を鹿の首に合わせて引金を引いた。
硝煙越しに鹿は斃れて斜面をずり落ちて行った。

いつの間にか地吹雪もやんで晴れていきた。勢子が近づいてきたが、その後は獲物は掛からなかった。

解除になって鹿を回収に行く。中ぐらいの若い雄鹿だった。
30-30のウィンチェスター製の150グレインの弾だったが、今猟期に買ったら一発辺り715円もした。一発で仕留められてよかったw
この日はたまたまアイアンサイトのm94だったが、サコ―のボルトだったら近すぎてスコープに収める事ができたか微妙だ。
若い鹿で警戒心が薄かったのかもしれない。ベテラン(?)の鹿なら目が合った瞬間に逃げられていただろう。
状況からしてタツマはちょうど通り道だった事になる。スジはなかったので、たまたまこの鹿が通て来たのだと思う。上のタツマが教えてくれなければ撃つ事はできなかった。撃とうと思えば上のタツマはできたのだが、あえて撃たなかったらしい。運よく撃ち斃せてよかった。

帰りは山を登らなければいけないので、その場で解体して回収する事にした。勢子が二人来てくれたので助かる。
この前出来上がった小ナイフをさっそく使ってみた。
薄く小さいハンドルなので厚目のゴム手袋をして使うのは、ちょっと微妙ではあったが、小さいブレードでも十分使えた。
今は亡きカスタムメーカーの榊原さんに、初めて猟に連れて行ってもらった時に使ったナイフがこのモデルだった。これで解体してるのを見て「見所がある」と思ってくれたのか、猟に誘ってくれる様になった。今となってはいい思い出だ・・・

10C28Mo2のブレードは自分で使うのは初めてだったが、これは案外よさそうだ。CRMO7よりいいかもしれない。
鹿の骨って案外硬いので420J2程度の硬さでは足りなくて刃が潰れてしまう。
10C28Mo2は60近い硬さがあるので十分に刃が持つ。
研ぎやすく滑らかな刃が付くのもいい。
研いで使える人にはお勧めの鋼材だ。
 

2024年1月2日火曜日

初撃ちに行った

猟仲間と射撃に行ってきた。

毎年恒例なのだが、自分は二年振りぐらいだろうか。

猟場と標高と気温が同じ位なので、照準の確認には便利な射撃場だ。


100mを30-30ウィンチェスターm94で委託にて5発撃つ。弾はフェデラルの150グレイン。

やや下目だが、オープンサイトなら十分か。


同じく100m委託で308サコーのボルトで5発撃つ。弾はノルマの射撃用155グレイン。スコープ10倍で狙う。

僅かに右下に寄ってるのかもしれないが、これも十分か。


次は50mで座って両膝に両肘を当てた姿勢で撃つ。

ウィンチェスターm94で弾はレミントンの150グレインを3発撃った。

案外まとまった。100mもそうだったが、やや下目の様だ。弾のせいではないと思う。照門を一段上げてもいいかもしれないな・・・


同じくサコーのボルトで。弾は同じくノルマの射撃用155グレイン。

3発撃ったはずだが、1発どこ行った?

スコープの倍率は最低の3.5倍だが、どうもぶれてしまって上手く狙えない。普段から据銃練習をしないといけないな。


猟仲間は皿撃ちもやった。
自分はもう散弾銃は持ってないので見物してた。
トラップもほとんど真っ直ぐしかやった事がないので、左右に振られると中る気がしないw

 

2024年1月1日月曜日

小さいナイフ

刃付けは必ず砥石を使って手で研いでいる。
超絶な刃付けはできないが、必要十分に切れるとは思う。
機械での刃付けだと砥石で研ごうと思うと、案外研ぎにくくなってる場合がある。
手で研げる様に作るべきだと思っている。

小ナイフと小スキナーが出来た。

ブレードは10C28Mo2の2.5㎜厚。2500番のヘアライン仕上げになっている。

ニッケルシルバーのヒルトにソングホールパイプは真鍮を使っている。

ハンドルはブラックキャンバスマイカルタで、変則ナロータング構造になっている。

今回は変則ナロータングのフルタング部を極力短くしてみようと試したのだが、この小ナイフは短すぎてハンドル接着時に僅かに傾いてしまい、マークサイド側のヒルトとハンドルに接着層が目立ってしまった。
敗因はヒルトを切り出した時に予定より長めになったのを、ややワイドヒルトにするのもよかろうと思いそのまま使ったのがいけなかった。フルタング部が短くなりすぎたのが原因だ。
この小ナイフはみっともないので、自分で使う事にしたw

いつもはシングルステッチだが、今回はダブルにしてみた。
自分用にするためにベルトループは弾帯に付けられる様に、通常より10㎜程長くした。

二本目は小スキナー。小セミスキナ―と言うよりは小スキナーの方がいいな。
小ナイフよりやや大きめで、ブレード長は70㎜程度。



仕様は小ナイフと全く同じ。
ハンドル形状もよく似てはいるが、スキナー用に僅かに変えてある。

本州での鹿猪の四つ足猟では、案外この程度の大きさで解体は十分に出来る。
足場の悪い現場での解体だと、大きなナイフより小さい方がやりやすい。

ダブルステッチにしてみたが、それほど嵩張らずにできた。


 元になったのは自分で使ってるセミスキナ―だった。このナイフは気に入っていて、シースの製作では重宝している。

狩猟だけでなく、日常のちょっとした事に使うのもいいと思う。
小さいナイフはそういった楽しみ方ができて面白いw