2025年5月25日日曜日

聞いた通り?

ジェスホーンのニューヨークスペシャルの続き。
もう片側のハンドルを接着しようとしたら、タングが撓んでいるのに気がついた。
前回ハンドルを接着した頃から数日がすぎて、春の陽気というより初夏の様な気候になっていた。
湿度でハンドルが伸びた様だ・・・

ホームセンター行って乾燥剤を買ってきた。

ジップロックに乾燥剤と一緒に入れて一晩置いた。

次の日に見たら、タングは平らになってたw

しかし、一緒に入れたハンドル材は盛大に反ってしまった・・・orz

接着した方はこれ以上乾燥すると危険なので、乾燥剤は抜いて、ハンドル材の方は息を吹きかけて湿らせて別のパックに入れてみた。

数日放置したらハンドル材は、ほぼ平面に戻った。
もううだうだやっていても仕方がないので、おもいきって接着する事にした。後は野となれ山となれ~w
しかしベテランから色々聞いていたが、概ねその通りになった。ベテランの言う事は話し半分で聞く事にしている。決して真に受けてはいけないw
とりあえず頭の片隅に入れておくと役に立つ事がある。

外形切り出す。


バーキングで外形成形。
小さいコンタクトホイールは持ってないのでザックリと。


穴あける。


成形の基準線を引く。

削る量が少ないので、ヤスリを使って手で削る。
ベルトグラインダーの段取りするより、このほうが手っ取り早い。

大体粗削り終わり。
象牙は案外加工性がいいな。


桐油を染み込ませる。
桐油は亜麻仁油より酸化重合が速くて使いやすい。変な臭いもないのがいい。

ある程度樹脂化すると表面は乾いた状態になる。
こうなってから磨きはじめる。
自分の場合は耐水ぺ-パーで水研ぎしてしまう。空研ぎより研削力が安定して磨きやすい。
象牙は鹿角に似ている。水研ぎだと溶ける様に削れるが、鹿角よりは水が染みにくい感じがする。いくぶん象牙の方が質が密な感じだ。


形になってきた。
一番手終わるごとに桐油を塗布する。
240→400→800→1500→2500番と耐水ペーパーを掛ける。
磨きは続く・・・





2025年5月24日土曜日

ハーフタングの小ナイフ

ハーフタングの小ナイフが二本出来上がった。


先ずはタンキャンバスマイカルタから。刃長は58㎜程度で60㎜を切っている。


ブレードは10C28Mo2の2.5㎜厚を使った。
今回仕上げは800番のヘアラインを引いてみた。
案外このくらいの粗さのヘアラインもいいと思った。


ハンドルはタンキャンバスマイカルタ。

長期在庫で表面が焼けていたものを使ったので、僅かに残った焼け色が面白味を出している。

なるべくコストを抑えて作ったのだが、ハーフタングは結構面倒である。


シースはシングルステッチで、なるべくコンパクトに作った。


次はレッドリネンマイカルタ。

これも60㎜超えない様に作った。

ブレードは14C28N。硬さは10C28Mo2が60程度に対して、この14C28Nは62程度ある

研いだ感触はどちらも大差はない。もともと耐摩耗性が極端にいい鋼材ではないからなのだろう。

若干14C28Nの方が炭化物が粗い様だが、一般的に出回っている刃物用ステンレス鋼の中では、炭化物は非常に細かい。研ぎ上げると精緻な刃が付く。


ハンドルはレッドリネンマイカルタ。


ハーフタングはこのシンプルな姿がいい。


小さくてもしっかりしたシースでありたい。



 もともと小ナイフのブレードをちょっと小さくしたモデルで、ハンドルは端材の都合でその都度形状の違った物を作っている。ハンドスケルペル的な形状になっているが、その時の気分でたまたまこうなった。

案外このぐらいのナイフは日常で使うには便利だ。最近はスケルトンの様なブレード材だけのナイフなんてのも多く出回っているが、やっぱりハンドル材はあった方がいいんじゃないかなw

2025年5月22日木曜日

象牙を使ってみる



ハンドルはペーパーマイカルタを使うつもりだったが、ハンドル材の在庫を漁っていたら象牙を見つけた。大分前に岡山の吉川さんから頂いた物だ。(吉川さん、その節はありがとうございます~)
本物のジェスホーンのNYSPがアイボリーハンドルだから、折角なので使ってみる事にした。
象牙の取り扱い許可は持ってないので売れなくなってしまうが、これは気に入ったので自分用にするw

輪ゴムで束ねて置いといたら、ゴムが腐ってシミになってた・・・orz

厚さが不均一で7㎜前後あったので、削り込んで薄くする。
断面の模様から外側を推測。とりあえず外側がハンドル表面になる様にすればいいのだろうか・・・

微調整は石盤使う。


接着する面にアセトンを染み込ませてからエポキシ接着剤を塗布する。
アセトンが呼水になってエポキシが染み込みやすくなる。
象牙は有機溶剤がよく染みて、白骨化した鹿角ほどではないが、ミクロ的には案外スカスカしている状態みたいだ。


ハンドルの表面になる側は同じくアセトンを染み込ませてから桐油を塗る。
完成後は桐油によるオイルフィニッシュにする。自分は鹿角でよくやっている。
桐油の様な乾性油は酸化重合して樹脂化する。
象牙は含水率が意外と高いらしく10%程度ある様だ。革と同じで完全に乾燥させる事はできない。もし極端に含水率が落ちると、ボロボロと脆くなってしまうのかもしれない。
結局のところ有る程度の含水率を維持しないといけないのだと思う。そう考えると合成樹脂を含浸するのは得策ではないと思える。
ある程度水分の出入りが出来る様にするべきだと思う。それにはオイルフィニッシュがいいのではないだろうか。


基本的にエポキシも天然乾性油の硬化すると僅かに収縮する。
しばらく放置すると色々な方向に反ってくる。
様子を見ながら石盤で平面を出しては、エポキシと桐油の塗布を数回繰り返した。
7㎜ちょっとあった厚みは5㎜程度まで薄くなった。

ハンドルの接着準備。
ボルスターとの接触面を整える。


とりあえず片面接着。
天気がよく適度な湿度の日を選んで接着した。

エポキシが硬化したら外形切り出し。

穴あける。

ドットホックの穴はこの時点であけた。
先にあけてしまうとハンドル接着の位置決めが厄介になるのと、象牙の薄板に10.5㎜の穴をあけるのは恐ろしいので、この時点でやる事にした。
ⅿ4のネジの下穴が3.3㎜だったので、最初3.3㎜の穴をあけて位置決めして、2~3㎜ぐらいづつ広げていった。

ドットホックは10.4㎜の外形だったので10.5㎜の穴にした。さすがにこの大きさの穴あけるのは怖いw

とりあえず今回はここまで。続く~







2025年5月21日水曜日

熱処理から帰ってきた

ジェスホーンのニューヨークスペシャルの続き。
 マトリックスアイダから熱処理から戻ってきた。
RWL34だがCRMO7の条件でやった。この方が硬さが高く粘らないので磨きやすい。それと耐食性も高くなる。実用でも問題ないのだが、コレクション性の高いモデルはATS34もこうしている。

先ずはタングの酸化皮膜をブラストで落とす。
この酸化皮膜は鉄原子が酸素と結合した状態なので錆びの原因になる。ステンレスはCrの不働態被膜により錆びにくいのだが、基地の鉄原子が酸化していると酸素が拡散して錆びになる。
酸化被膜は機械的に除去すると、基地の鉄原子が酸化される前にCrの酸化による不働態被膜が生成されるので、鉄原子に酸素の供給がなくなり錆びにくくなる。
熱処理から戻ってきたらさっさと酸化被膜は取ってしまった方がいい。

硬さ測った。
RWL34はマトリックスアイダのCRMO7の条件だと、硬さは概ね63~64ぐらいになる。
実用で使っても十分粘りはあるので、高温焼き戻しと低温焼き戻しのどちらがいいかはいまだに迷う。

ブレードは1500番を掛けてノートンの1500番でヘアラインを引いた。
自分の場合、磨きは日研の耐水ペーパーを使うが、ヘアラインはノートンの青い台紙の耐水ペーパーを使っている。ノートンは研削力が強い感じがして、これを使う様になってからはヘアラインを引くのが楽になった。以前はヘアライン引くのに半日掛ける事もあった。
但し台紙がちょっと柔らかく、自分のやり方だと合わないので、磨きは日研を使っている。
研削力の違いなのかもしれないが、呼び番手は同じでもノートンの方がやや粗い気もする。

マトリックスアイダで名入れした。
今回はジェスホーンの本物に倣ってリカッソに入れてみた。
名入れは上手くいって、ヘアラインを引き直す必要もなかった。
とりあえずボルスターを取り付ける。
ジェスホーンの本物の画像を見る限り、ボルスターはロウ付けなどせずに接着してピン留めなんだと思う。
いつもならコンクエスト(アルミ粉末の入った金属パテ)で接着するところだが、ヒルトと違って平面度が出ているので、エポキシ接着剤を使う事にした。

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カシメのピンは2.5㎜を4本使った。
実用モデルではないがボルスターが剥がれるのは嫌だ。
ヒルトの部分ってタングが撓むとハンドル材で押されるので、結構応力が掛かる。これは実用していて分かった。
余程小さいヒルトでないかぎり、2.5㎜のピンで二本以上で留める様にしている。

なんとなく形になってきたw
次回から面倒くさい事になったハンドルに続く・・・