2023年6月4日日曜日

magnacutってどうなん?

鋼材支給でのご依頼で、mgnacutが送られてきた。
自分では使ってみる気はない鋼材だが、どんな特性なのかは興味があるw

Cr量を必要最小限に抑えて、Vの炭化物であるVCを多く含有させる事で、耐摩耗性を際立たした鋼材らしい。(Cr量が多いとVはCrとの複炭化物になるので、VC量は減る)
問題は焼入れ温度が一般的なステンレス鋼より高い事。ハイスほど高くもないのも困ったものだ。
それと冷却速度の問題もある。真空炉の様な気体冷却では、油冷と比べると硬さがHRcで1程度低くなる様だ。この辺はSPGⅡ、S30V、S35VN、ELMAXなどのV含有量が多い粉末鋼の特徴の様だ。

magnacutはラブレスのニューフィールドのご依頼なので、試験片を作るのに十分な大きさがある。
ニューフィールドのデザインはどうしたものかと思ったが、困ったときはHILTSさんのデザインでw
何種類かの熱処理条件を試してみたいので、多めに試験片は作る事にした。

表面を磨くいてエッチングする。
先ずは熱処理前の生材を観察してみる。

表面の600倍。横の画角が約100μmになる。
横方向が鋼材の長手方向。フラットバーだったので、おそらく圧延方向だと思う。
大きく目立つ炭化物でも、概ね2μm程度の様だ。通常の粉末鋼は3μm程度はあるので、非常に細かいと言える。

表面の150倍。
研磨がいい加減なので横方向に幾分研磨痕がある。それを考慮しても、観察する限りでは鍛流線の様なものは見られない。

断面の長手方向600倍。
上下が厚さ方向で、横が長手方向になる。

断面長手方向150倍。
表面と様子はあまり変わらない。
これも観察する限りでは鍛流線の様なものは見られない。

断面横方向600倍。
上下が厚さ方向で、横は長手に直角方向になる。

断面横方向150倍。
これも表面と様子は変わらない。

magnacutは聞いた話では磨きにくいらしい。
VCの炭化物が多ければ仕方がないかもしれない。
実際使った感じはどうなのだろうか?
耐摩耗性がいいのは刃持ちの良さに有利だが、肝心の研ぎがやりにくくなっては仕方がない。
その辺のバランスがどうなのか、実際の使った話があまりないのがなんとも・・・

8 件のコメント:

  1. 作った後、使って見ましょう‼️

    返信削除
    返信
    1. それはご依頼者様にお任せしますw

      削除
  2. 駄目だ‼もう付いて行けん。マグナカットなんて
    知らなかったw

    返信削除
    返信
    1. https://knifesteelnerds.com/2021/03/25/cpm-magnacut/
      こういうものらしいよ。
      面白い事考えた人がいたもんだw

      削除
    2. CPMってことは、クルーシブルかぁ~~
      S30VとかS35VNって天敵だからなぁww
      古い人なんでねw

      削除
    3. 耐摩耗性がよすぎる鋼材は使いにくかったりするからね・・・
      SPGⅡがギリギリの線だなw

      削除
  3. 「マグナカット」って名前が格好良いですねw
    1枚目の画像、F&Sとユーティリティはハーフタングですか?!

    ニューフィールドナイフってキャンプに良さそうですね~
    ラブレス手書きのラフスケッチだと微妙なスキナー形状で、しかもフラットグラインドみたいなことをメモしてありました。
    実際にカタチになったものはユーティリティの要素が強い気がします。

    返信削除
    返信
    1. マグナカットって、なんか強そうですねw
      F&Sとユーティリティは、ご依頼者さんがHILTSさんのデザインを元にハーフタングにしたものです。なかなかいいですねw
      ニューフィールドってのもなかなかいいナイフですが、自分ではあまり使いそうにないから作る事はなかったです。いい機会だと思ってます。

      削除