2023年7月7日金曜日

magnacutの熱処理


magnacutの試験片を熱処理した。
マトリックスアイダでATS34の条件とCRMO7の条件とmagnacutとして、三種類の条件で熱処理した。

とりあえず二つに分ける。
こういった事はあまりやった事がないが、案外砕ける様に割れるんだな。

硬さを正確に測るには、硬さ試験機のベットとの接触面の平面が出ていないといけない。
表面を磨いて思ったが、熱処理前に平面を出していてはずなのに結構歪んでいる。
焼鈍さなかったのが原因か。使う時は焼き鈍した方がよさそうだ。

硬さを測った。

概ねこんな感じ。
思った通りだった。
magnacutはオーステナイト化温度が高い必要がある事と、真空炉の気体冷却では冷却速度が足らないからなんだな。
しかしCRMO7の条件なら60ちょうどぐらいにならないかと期待したのだが・・・
オーステナイト化温度は1120℃が適正らしいが、普通のハイスでは温度が高すぎになるので、この中途半端な温度は困ったものだ。
ソルトバスで冷却も油冷を指定してやる方法もあるかもしれないが、絶望的な肌荒れとエッジは薄くできないのでS&Rの方法では無理だ。

以下は組織を観察してみた。
マトリックスアイダATS34の条件150倍。


マトリックスアイダATS34の条件600倍。


マトリックスアイダCRMO7の条件150倍。


マトリックスアイダCRMO7の条件600倍。


マトリックスアイダMagnaCutの条件150倍。MagnaCutとして熱処理したが、実際はD2(SKD11)の条件の様だ。

マトリックスアイダMagnaCutの条件600倍。

600倍は横の画角がちょうど100μm。
マトリックスアイダだとATS34とCRMO7のオーステナイト化温度は同じだが、magnacutの条件はD2と同じと思われるので、ATS34やCRMO7より数十℃低い。
焼き戻し温度はATS34は二次硬化する高温焼き戻しで、CRMO7は硬さを優先するため極低温の焼き戻しになる。D2は低温であるものの、二百数十度の焼き戻し温度となっている。
熱処理後の組織は三通りの条件で本質的な違いは見られない。

表面磨いた感じでは非常に磨き辛い。耐摩耗性は抜群なのだろう。
硬さが低くてもこの耐摩耗性ならば、案外使えるのかもしれない。

ちょっと考えがあるので、もう片方の試験片でさらに実験してみる。


2 件のコメント:

  1. 炭化物の形状とばらつきは、微細だし良い感じだと
    思える。砥ぎ易くて、良い刃が付いて、切れが持って
    耐蝕性は、どうなんだろう??興味津々

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  2. 硬さがちゃんとでるならばいい鋼材なんだけどね・・・
    でも耐摩耗性いいから硬さは低くても案外使えるのかも。
    耐食性は謎w

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