2021年6月22日火曜日

和包丁の柄の挿げ替え

ちょっと前に知人からのご依頼で、和包丁の柄の挿げ替えをやった。
鋼材は分からないが、合わせでしっかりと鍛造で作られたいいものみたいだ。

長年の使用で中子が腐食して柄が割れてしまっていた。

とりあえず柄を抜いてみる。
中子の状態が分からないので、柄の割れ目に沿って慎重にこじって少しづつ割って行った。

思った通りかなり錆びていた。

錆びを落とす。
熔接で継ぐ必要があるか思ったが、なんとかなりそうだ。

ブラスト掛けた。
大分痩せきているが、まだ十分使えそうだ。

柄はどうしたものかと悩んだ。
腐りにくいマイカルタがいいかとも思ったが、和包丁にはどう考えても合いそうにない・・・
色々考えて紫檀に口金を付ける事にした。
銅合金のヒルトを付ける事も考えたが、中子の長さがどうしても足りない。
柄の先端に口金を巻く構造にした。
口金は当初真鍮版をロウ付けか熔接で作ろうかと思ったが、銅パイプがあったのでこれを使う事にした。

銅パイプを焼鈍して、先端は叩いて絞る・・・

中子に合う様に絞った。

紫檀に接着・・・
してみたが、何か太すぎただなw
それに先に刃に取り付けてしまうと、柄の整形がやりにくい事に後になって気が付いた・・・
これは気に入らないから、やり直しw

という訳で、もうちょっと細く作り直す。

口金を接着する。
前は絞って中子にぴったり合わせるつもりだったが、よくよく考えると刃と口金が接触していると電蝕が起きそうだ。
やっぱり単純に柄の前端はエポキシ接着剤を充填する事にした。

整形した。

バーキングで磨いた。

中子を挿す穴をあけて接着する。
固まったら桐油を塗って乾かして磨く・・・

出来上がった。

銅の口金は、本当なら錆び付けすればよかったのだが、自分にはそういった技術がない・・・
自然に錆び色が付いてくるのを期待したい。

それほどいい紫檀の材ではなかったが、磨いた質感は悪くはなかった。

柄の前端はエポキシ接着剤を充填しただけだが、案外これがシンプルでよかったかもしれない。

どう作るかと悩んで時間が掛かってしまったが、なんとか出来上がった。
なかなかいい包丁なので、自分が柄の挿げ替えをやっていいものなのかとも思ったが、お渡ししたら喜んでもらえたのでほっとした。
たまにはこういったものもやってみると面白いねw

 

4 件のコメント:

  1. 今度は包丁を削り出しで作って見たらどうですかね。

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    1. 昔鉄工ヤスリで削って作りましたが、手間が掛かってなんとも・・・
      あの手の物は餅は餅屋で、包丁屋さんが作るべきものではないでしょうかw

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    2. 包丁の面を削るのはベルサンにプラテンを付けて削ると意外に楽ですよ、押木も必要ですけれどね。

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    3. なるほど、今度やってみますw

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