2021年1月28日木曜日

磨き方

ブレードの研磨の仕方について書いてみる。

自分の場合はバーキングで粗削りのあとは、鉄工ヤスリで「セン掛け」といってるが併進法で切削してブレードを形成している。

鉄工ヤスリの切削のあとは研磨の工程になるのだが、先ずはダイヤのヤスリで鉄工ヤスリの目を消していく。最近だと油目の組ヤスリを掛けているので、先ずは400番のダイヤヤスリを掛けて、その次は1000番を掛ける。

電着ダイヤヤスリは研磨というより切削に近い特性だと思う。表示の番手は耐水ペーパーの番手の半分ぐらいの気がする。


ダイヤヤスリの次は耐水ペーパーを掛けるのだが、その当て板には3㎜厚の鉄板を約15㎜幅にしたものを使う。フラットグラインドなのでこれでベタで磨く。
鉄板の当て板で面に当たるのか?って聞かれる事があるけど、ペーパー自体の厚みの撓みでその心配はない。
撓みで面は僅かにダレるのだが、それは許容している。逆に撓み以上にダレない様に注意して磨いている。
撓む当て板を使うと面は必ずダレる。面に当たらないからといって木やゴムを使うのは駄目だ。
ダイヤの後は耐水ペーパーで800番⇒1500番⇒2500番と掛ける。
自分は研磨には日研の耐水ペーパーを使っている。日研は砥粒もいいが、何より台紙の質がいい。
最終のヘアラインはノートンの2500番で引いている。ノートンは台紙が柔らかくて自分の様な研磨の仕方には向かないのだが、研削力が強いのでヘアラインを引くのに使いやすい。感じとしては日研の番手よりノートンの方がやや低い様に思う。
研磨はペーパーを15㎜幅に切って使っている。
ヘアラインはその半分かやや狭い幅にして使う。
ダイヤもペーパーも水研ぎで使って、場合によって適当に粘度のある中性洗剤を潤滑に使う。
錆びる事を考えたら油を使った方がいいのかもしれないが、始末が悪いので水を使っている。
以前は研磨が終わるごとに水分を取ってWD40の様な防錆剤を塗布していたが、まれにピンホールの原因になるので使うのをやめた。あの手の防錆油は水分の間に入って防錆すると謳ってはいるが、研磨痕の谷間に入った水分には潜り込むことが出来ず、表面に油膜ができる事でかえって腐食の原因になる様だった。
今は研磨が終わるごとに水分をふき取り、ドライヤーで乾かす事にしている。ステンレス鋼だとこれで十分の様だ。

磨く方向は絵の様に三方向で番手により変えていく。
前の目を完全に消すのが基本。磨く方向を変える事で前の目を確認しやすい様にする。
ペーパーの番手を大体倍ごとに変えるのも、前の目を確認しやすいから。
倍々に変えていくのは研磨量を最小限にしてダレを抑えるためもある。
面ダレは磨く方向にも原因がある。斜め方向に磨く時は押す側の方がダレやすい。Cの方向で磨く時、エッジ側がダレやすい。逆にBの方向だとブレードバック側がダレやすい。
最終的に2500番でヘアラインを引くので、1500番はBの方向で、800番はCの方向で掛けている。
番手の低いペーパーは撓みやすくダレやすいので、ダレても目立ちにくい様に800番はCの方向としている。エッジ側は最終的に小刃を付けるので、ダレても目立ちにくい。
番手を倍ごとに変えて傷が消せるのかってのもよく聞かれるが、番手を細かく変える事を考えると手間はそれほど変わらない。

研磨にはアルミのアングルを固定して使っている。
ヘアラインもこの台に手を添えて引いている。

基本中の基本なのかもしれないが、研磨の状態は必ずルーペで確認する。
最終的に磨き残しは肉眼で見えなければいいのだが、そのためにも20~30倍程度のルーペで見えない様にするべきだと思ってる。
出来上がったナイフって基本的に雰囲気を楽しむもので、ルーペで観察するものではないのかもしれない。しかし少なくとも肉眼で磨き残しが見えてしまうのは駄目だと思う。
これはブレードだけでなく、ハンドルにも言える。とくにタングの露出した部分の磨き残しはあっては駄目だし、こういった部分もヘアラインをしっかり引きたい。
シースへの出し入れで傷はつくものだが、磨き残しはあってはいけないと思ってる・・・
 

2 件のコメント:

  1. これは趣味でナイフづくりをする人間には貴重な情報だとおもいます!
    作り方や磨き方は人によってさまざまだとは思うのですが、
    これはものずきさんの現時点で行き着いたやり方ですからね。

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    1. やり方は人それぞれなので、自分に合った方法を取り入れればいいと思います。
      結局作る物の方向性や制作環境で、やり方は変わってくるのかもしれないですね。
      何か参考になればとても嬉しいですw

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