2025年6月19日木曜日

ジェスホーンのニューヨークスペシャル完成

ジェスホーンNYSPの続き。今回が最終回。
シースを乾かしてる間に刃を付けた。
自分は砥石を使って刃を付ける。
動力機械で付けた刃の刃物って、案外手で研ぐと刃先が砥石に当たらない事があって研ぎにくい。
一般のユーザーは手で砥石使って研ぐしかない。砥石で刃付けをしておけば、研ぎ直しも難しくはないだろう。
そんな考えもあって手研ぎに拘っている。超絶な切れ味ではないが、必要十分な切れ味にはなる。
 
シース乾いてやっと完成。

販売サイトの画像を頼りに作ってみた。
横哲さん秘伝のラブレスオリジナルの寸法を元に細部をデザインした。
そのためジェスホーンのとは細かいところが微妙に違ってしまった・・・これは作ってる途中で気が付いたw
ラブレスオリジナルが全長186㎜程度なのに対して、ジェスホーンのNYSPは200㎜ちょっとある。結構でっかくて、まるでハイドアウトの様だ。
もともとフォルダーだったのをフィックスド化したものなので、ハンドル長が長い訳だ。
はじめこれを知らなくてラブレスオリジナルの大きさでデザインしたら、なんかヘンテコで悩んでしまったw

ブレードは2.6㎜厚のRWL34で、低温焼き戻しで使った。
ヘアラインは1500番でやったが、1000番の方がよかったかもしれない。

ハンドルは象牙を使った。この象牙は岡山の吉川さんから頂いたものだった。(吉川さん、その節はありがとうございます~)
象牙なんて初めて扱ったが、案外加工性がよくて仕上げも難しくなかった。しかし条件によっては変形しやすいのが厄介だった。
経年変化や伸縮の問題があるが、手触りよく手に馴染むので、道具としては意外といいのかもしれない。ナイフの様な金属板に貼り付けるという使い方自体が、間違いなのかもしれないと思ったw
象牙の取り扱い許可は持ってないので販売できなくなってしまったが、これは気に入ったので自分のコレクションにする事にした。

ジェスホーンはボルスターには416のステンレスを使っていてらしい。ここは圧延材のニッケルシルバーを使った。
ピンとパイプのニッケルシルバーを使った。ジェスホーンはピンはニッケルシルバーを使ってるそうで、パイプはアルミらしい。
NYSPで厄介なのはドットホックの取り付けだ。
ラブレスの本物なら貫通させてハンドル止めるファスナーボルトを利用できるが、ジェスホーンのNYSPはタングにネジ切って締めなければいけない。おまけにハンドル材が薄いので、ドットホックを面一にしようとすると一工夫必要になる。

シースはラブレスオリジナルに似せて作ろうかとも悩んだが、ジェスホーンに敬意を表して真似てみた。
謎だったのはどう見ても裏側の革が銀面がシースの内側になってる事だった。
表から見た時に見栄えがいい様にするため?
そもそもシースはジェスホーン本人が作ってたんだろうか?
ここまで真似する意味もなかったのかもしれないが・・・結果としてシースの裏面は床面が出た状態になった。まあこういうのもありかw

元ネタの構図で撮ってみた。



https://cdn11.bigcommerce.com/s-9wkbmoapx6/images/stencil/1500x1500/products/303/26020/K10361-Horn-Jess-5952__07301.1741376672.jpg?c=1&imbypass=on

久しぶりに製作記を一通り書いたが、実に楽しかった。
ナイフに限らないが、もの作りは一つづつ段階を確実にこなしていかないといけない。何処か飛ばして出来るものでもない。
まあ楽しんで見てもらえれば嬉しいw

2025年6月18日水曜日

蜂の夏準備


 数日前にやたらと蜂達が騒がしかった。
空梅雨で気温が高くなっていた。
放置状態だったが、暑さ対策をしなければ・・・

ちょっと蜂数が少ないのが気になる。
騒がしかった時に、周りの地面に蜂が沢山死んでいた。
何が起こったのかと思ったが、どうやら巣板の一部が落ちたらしい。
これが原因で騒ぎが起こっていたんだな。

底板を通気の良いものに変えとく。
大分重くなっていたので箱を一段足すべきかと思ったが、下の巣板のつまり具合が良くないのでやめておいた。

とりあえず様子を見る。
この夏を乗り越えられるか?・・・

NYSPのドットホックの付き方


 ジェスホーンのNYSP製作記中で書いたが、ラブレスのNYSPのドットホックの付き方の詳細が分かった。横哲さん直々に教えてもらった。(横哲さん、ありがとうございます~)

上の画像は横哲さんご提供。ちょっと不鮮明だが、要はハンドル中心線に平行に取り付けてある。

ナイフメーカーバイスの様なものを使って水平に固定して、ドットホックの外径に合った段付きドリルで穴をあけるそうだ。

そのためドットホックは前側が飛び出て付いている。なるほどラブレスの本物はそうなってんだな。平行でないとシースのドットホックにはまらないだろっていうけど、革だから大丈夫でしょw

もとになったジェスホーンの画像①画像②を見る限り、ドットホックはハンドルにほぼ面一に取り付けられている。
この部分のハンドルは寸法としては前すぼみに微妙にテーパーになっている。
自分の場合は予めタングを座繰っておいて、スペーサーで調整するつもりでいた。
面一にするためにはテーパーにしたスペーサーを入れればいいのだが、模式図としては上図の様になる。
ネジはタングに切ったネジに垂直に締まるので、ドットホックの前側にネジ頭と隙間ができてしまう。押してるうちはいいが、引き抜きを繰り返すとガタが出てしまう。

しかし都合のいい事にドットホックの穴は画像の様に、穴を打ち抜いた捲れが出来ている。

ネジを締めるとこの捲れが潰れてドットホックはテーパー面でも確実に固定できるのだ。

なんでスペーサーにステンレスナットを加工したものを使ったかと言えば、樹脂ではスペーサーが潰れてしまうからなのだ。金属であり錆びにくい事を考えてステンレスナットを加工した。真鍮やニッケルシルバーだと硬さ的に微妙なので、結果としてはこれで正解だったと思う。ちなみに一度締め付けたドットホックは外してしまうと再利用できない。


なんて事のない部分なんだけど、結構悩んで作っている 。知ってしまえばどうという事はないのだろうけど・・・

だけどこれが面白いんだなw


2025年6月14日土曜日

Neo Stiff Horn SF

シースナイフ化したジェスホーンのスモールファイター。
前回は試作のつもりで自分の作りやすい削り方でやったが、今回はよりジェスホーンに近付けてみた。

ブレードは2.6mm厚のRWL34で、低温焼戻しで使った。
ジェスホーンはこのぐらいの大きさのモデルの鋼材厚は2.4mm弱だったらしい。おそらくほとんどのモデルはこの厚さだったんじゃなかろうか。

ハンドルはUltreXのエイジドペーパーアイボリーに海老茶色のスペーサを入れている。
ヒルトとピンとパイプはニッケルシルバーを使った。

フォルダーがもとなので、ハンドルは薄め。
このぐらいののサイズは案外実用にいい。

ジェスホーンのファイターはこの辺がカッコいいよなw
今回ブレードは1000番のヘアラインにしてみた。このぐらいの方がいいな。
それとヒルトの側面は800番のヘアラインにした。シースの抜き差しで擦り傷がどうしてもついてしまうのだが、このぐらいのヘアラインにした方が傷が目立たなくていい様だ。

ブレード先端はかなり薄い。ファイターとしては一回突き刺して終わりってとこか・・・
まあ物騒な話は置いといて、使い方次第では実用にもいいんじゃないかと思う。雰囲気を楽しめばいいw

前回のシースは薄めの革を使ったが、今回はいつも使ってる3.5mmの革で作った。
あえてドットホックも使わず、シンプルなものとした。
しかしジェスホーンっていいよな。いつか畳めるのも作ってみたいw
 

2025年6月13日金曜日

シースを作る



やっとシースに取り掛かる。
元ネタのジェスホーンのオリジナルに近い形状でやってみる。大体こんな感じだろうか・・・

革を切り出す。ブルハイドのダブルショルダー、8~9オンスって事なので、厚さは3.5mm程度ある。オンスは重さでなくて革の場合は厚さを示していて、1オンスあたり約0.4mmなんだそうだ。
中子を切り出す。中子は靴の本革底用のベンズを使う。今使ってるのはメキシコ製で、硬くてなかなかいい。

ベンズの床面側をテーパーに漉く。
いつもはナイフで削っていたが、手っ取り早くバーキングで削った。粉塵がたまらんw

中子の内側のコバを磨く。
水を少し付けてヘラでよく擦る。

テーパーをちょと調整。
小さいナイフは便利だw

位置の確認。
オリジナルの画像を見ると、シース裏側の革はシースの内側に銀面が来ている。よくよく観察しても、そうなっているとしか思えない。
なんでそんな構造なんだろか・・・表から見て見栄えのいい様にしてるのか?
実用からいうとシース内側は銀面でない方がいい。
散々悩んだが、ここはオリジナルを尊重して真似る事にした。

接着準備。
貼り合わす面は両方とも銀面になった。
接着面を罫書針で荒らしておく。
自分の場合、銀面はあえて削る事はしない。銀面が接着しにくいのは表面の構造の違いで、銀面は非常に細かい繊維のため接着剤が浸み込みにくいからだ。適度に荒らしておけば接着剤は浸みていく。
銀面は革の7割近くの強度を持ってるので、無暗に削り取らない方がいい。

中子を接着。
接着剤はスーパーXを使ってる。両面に薄く塗布して、すぐに貼り合わせる。

接着剤が硬化したら、仮のウェットフォームをする。

よく整形しておく。
中子がテーパーになっているので、これをやっておかないと表革の位置決めができなかった。

こんな感じで位置が決まったw

乾いたら表革を接着。
これは床面同士になるが、同じ様に罫書針で荒らしておく。

接着した。

縫い目をルレットで決める。
内側の縫い目は中子の型紙を利用して位置を出す。ダブルステッチは基本そうしている。

菱目を切る。
ボール盤を使って一本菱でやっている。表から切って、裏面からも菱錐を通す。
オリジナルは手縫いなのに菱錐でなく丸錐の様だ。
シース名人の中川さんの教えだが、菱目って縫った後に目が締まって、万が一糸が切れてもほつれる事がない。手縫いはミシンと縫い方が違うので、とくにほつれにくい。
ここはさすがに自分のやり方にしたw

刻印を打つ。工場の油圧プレスを使ってるw
いつもは裏側なのだが、裏が床面になってしまうのでここに打った。

蝋引きした亜麻糸で縫う。
普段なら一本で塗ってしまうが、今回は4分割にした。
糸が太かったなぁ・・・w

ウエットフォームする。

反ったりするので、真直ぐになる様に整形して・・・

本体に合わせて整形する。

しばらく乾燥。

乾燥してきたらコバを整形して磨く。
自分の場合は鉋で削って耐水ペーパーで磨く。
ペーパーは120番、240番、500番と掛けて、最後は水を付けて純綿の軍手で磨いてる。
水を吸った革は加熱すると加水分解して膠状になる。
水付けて擦る事で摩擦熱で表面が膠状になって艶が出る。
自分の場合はコバには着色やコート剤が塗っていない。

ドットホックを付ける。
ウエットホームで付いた跡から位置を出す。
この手の細い穴あける時は、ビクトリノックスのリーマーを利用している。これが案外都合がいいw

ドットホックをかしめる。

ちゃんと収まったw

乾燥したのでタレに漬ける。
ギリギリ瓶に入ったw

しばらく天日干し。
やっとここまで来た。あともうちょっと・・・続く。