2025年8月16日土曜日

ハンドル材の組織

この前象牙を使ったが、その性質に興味を持った。
ちょっと気になったので調べてみる事にした。
金属顕微鏡を使って組織を観察してみる。
輪切りの象牙があったので、これから試験片を切り出す。表層にはエナメル質が付いてるので、象牙質との違いが見れるだろうか?

比較として白骨化した鹿角も観察してみよう。

久しぶりに金属顕微鏡を引っ張り出してきた。
金属顕微鏡は光軸の途中にハーフミラーが有って、光源の光を対物レンズを通して試験片に照射して反射光で観察をする。金属片は光が透過しないからねw


象牙75倍。
中央付近の線がエナメル質と象牙質の境目。左がエナメル質で右が象牙質となり、右の方が象牙の中心になる。
肉眼だと表層側の象牙質は交差模様が見えるのだが、これは内部の濃淡が透けて見えるためであって、顕微鏡だと表面の組織でしか見えないので交差模様は出ない様だ。


象牙エナメル質600倍。
象牙は緻密で研磨しただけでは組織が出なかったので、硫酸で軽くエッチングしている。
象牙という物は10%弱の水分とコラーゲを主成分とする有機物が30%、残りはリン酸カルシウム(ハイドルキシアパタイト)などの無機物で構成されているらしい。
エナメル質と象牙質の違いは有機物と無機物の割合で、エナメル質の方がより無機物が多く、そのため硬いらしい。

象牙象牙質600倍。
研磨とエッチングが今一で画像では分かりにくいが、観察した限りでは隙間の様な状態は全くなく均一で緻密な感じだった。
象牙は磨くと表面が非常にきれいに仕上がって、金属切粉が入り込むということがなかった。確かにミクロ組織が均質だからなのだろう。

象牙放射方向600倍。
象牙は中心から外層方向に放射状に細管があるらしい。
画像では不鮮明で分からないが、観察するとポツポツと穴の様な感じが見える様な気もすくが、今一はっきりしない。これは顕微鏡の限界かもしれないw

白骨化鹿角75倍。
表層を削った状態で、普通にハンドル材としたなら表面になる部分。
肉眼でも見える事があるが、渦巻き模様が無数にある。木材の節に似ているが、渦の中心は穴になってる。
鹿角も骨も基本的には象牙と同じで、水分とコラーゲンとリン酸カルシウムで出来ている。
成り立ちとしては、先ずコラーゲン繊維が成長して、その隙間にリン酸カルシウムが沈着して形成されるのだと思う。
鹿角の節状の部分は樹枝状に発達したコラーゲン繊維の痕跡だはないだろうか。


白骨化鹿角600倍。
節状の部分の中心は穴になっているが、その他の部分んは結構緻密な感じだった。
節状の渦巻きは何かが濃淡となって表れている。白骨化によるコラーゲン繊維分の脱落による微細な穴なのだろうか。白骨化鹿角はエポキシや乾性油が染み込みやすいが、コラーゲン繊維が腐食で無くなり、ミクロな隙間だらけの状態なのかもしれない。

白骨化鹿角髄部75倍。鹿角を軸方向に見たところ。
髄の部分はスカスカな穴だらけ。
髄の部分はよく血管の通ていた跡だと言われるが、どちらかというとコラーゲン繊維を形成する時の幹の部分と考えた方がいいのかもしれない。

白骨鹿角軸方向75倍。
髄から離れた表層に近い部分。
この方向でも渦巻き模様が出てる。おそらくコラーゲン繊維の比較的太い枝の部分に相当するのだろう。
鹿角は磨いていると金属切粉が入り込んでなかなか取れなくなる事があるが、この節の部分が原因なのかもしれない。

アイアンウッド600倍。
ついでで見てみた。
観察した限り隙間の様なものはほとんどなかった。

アイアンウッド150倍。
木材の成分は大まかにはセルロース、ヘミセルロース、グアニンの三つで構成されてるそうだ。
見える組織がどういう意味があるのかは分からないが、非常に緻密な印象を持った。
アイアンウッドは化石化したものの様に言われる事があるが、木材である事は間違いない。珪酸分が沈着して石化してる様なものではないと思う。

タンリネンマイカルタ75倍。
分かりにくいが黒っぽい部分がリネンの繊維で、白っぽい部分が樹脂の部分。
肉眼だと繊維が交差してるのが見えるのだが、これも内部が若干透けるからの様だ。
顕微鏡だと内部の透けた部分はピントが合わないので表面だけしか見えない。

タンマイカルタ600倍。
研磨の状態と平行が出てなかったので画像は判然としないが、案外繊維の部分も緻密な状態になっている。繊維にも樹脂が十分染み込んでいるからなのだろうか。
マイカルタの厄介なところは、粗削りで繊維が毟れた状態になるので、その後の研磨を丁寧に行わないと最後まで繊維の毟れが残ってしまう。きれいに仕上げようと思うと案外手間が掛かる。

ブラックキャンバスマイカルタ75倍。
これも黒っぽい部分が繊維で、白っぽい部分が樹脂になる。

ブラックキャンバスマイカルタ600倍。
繊維のサイズの違いだけで、タンリネンと本質的には変わらない様だ。

2025年8月13日水曜日

ソルダムのジャム


 昨日山梨行ってソルダムと桃を買ってきた。


久しぶりにソルダムでジャムを作ってみる。
もぎたてで、まだ実が固かったので、適当に刻んでおいた。

グラニュ糖をまぶして鍋にいれて火にかける。
浸透圧で水分が出てくる。
ソルダムは約2.8kgで、グラニュ糖は1.4kgの割合とした。

弱火で焦げないように煮る。
水分が出てサラサラになってくる。

実崩れするまで煮詰める。

湯煎したビンに詰める。
こうする事で常温でも長期保存できる。
僅かに残る空気で酸化して黒ずむ事はあるが、常温でも数年は大丈夫。むしろ一年ぐらい置いてからの方が美味しいw

出来上がり。

ソルダムは皮が緑色だが中身は紫色で、ジャムにすると鮮やかな色合いがいい。

適度な酸味があり、僅かにあるDr.ペッパー的ケミカルチックな味わいが自分は好きだw

2025年7月26日土曜日

JH-Fighter

6inchのジュニアベアーが出来た。

このところはまっている、ジェスホーンの独特なファイターの削りで作ってみた。ジェスホーンとラブレスへのオマージュでもある。JH-Fighterって称してシリーズ化してみようと思ってる。


ブレードは約5㎜厚のATS34を低温焼き戻しで使った。
ジェスホーンのファイターの特徴は、メインのベベルが所謂平造りになっている。フラットグラインドの特徴を生かせる面白い題材だと思っている。

ハンドルはマルーンリネンマイカルタに薄いエビ茶色のスペーサーを入れてある。
ヒルトは圧延材のニッケルシルバーに、インチサイズのラブレスボルトとパイプは真鍮を使った。

サブヒルトのファイター作るのは十数年振りだった。面倒くさいヒルトの削り方をすっかり忘れていたが、なんとか作れて一安心w
普段なら大判の銘を使うところだが、バックベベルの幅が微妙に狭かったので中判をリカッソに入れてみた。

いつもは2500番のヘアラインで仕上げていたが、今回はブレードは1000番でヘアラインを引いて、ヒルトは800番で横方向にヘアラインを引いてみた。
2500番だと見方によってはぼやけた印象になりやすいが、このぐらいの番手の方が線が際立った印象でいいのかもしれない。

オープンシースはダブルステッチで。
ブーツと違って隠し持つ物でないからゴッつくてもいいか?w

自分の宝物のジュニアベアーと並べて見た。
これ作ったのは11年前らしい。もうそんなに経つのか・・・
ブレードの仕上げの違いがよく分かる。
どちらがいいかは好みによるかもしれないなw

2025年7月21日月曜日

今年は今一

関東は18日に梅雨が明けた。
18日の朝に漬ていた梅を干した。

 
5kgの梅だったので、例年の半分ぐらい。
笊に並べんのも、このぐらいの量なら簡単でいいなw

今日の夕方まで干した。
天気がつづいてくれたので助かった。

今年の出来は悪かった。
笊に張り付いてしまって皮が破れてしまったものか多かった。
ひっくり返すのサボったのもあったが、梅自体の出来も良くなかった。
また来年に期待しようw

2025年6月19日木曜日

ジェスホーンのニューヨークスペシャル完成

ジェスホーンNYSPの続き。今回が最終回。
シースを乾かしてる間に刃を付けた。
自分は砥石を使って刃を付ける。
動力機械で付けた刃の刃物って、案外手で研ぐと刃先が砥石に当たらない事があって研ぎにくい。
一般のユーザーは手で砥石使って研ぐしかない。砥石で刃付けをしておけば、研ぎ直しも難しくはないだろう。
そんな考えもあって手研ぎに拘っている。超絶な切れ味ではないが、必要十分な切れ味にはなる。
 
シース乾いてやっと完成。

販売サイトの画像を頼りに作ってみた。
横哲さん秘伝のラブレスオリジナルの寸法を元に細部をデザインした。
そのためジェスホーンのとは細かいところが微妙に違ってしまった・・・これは作ってる途中で気が付いたw
ラブレスオリジナルが全長186㎜程度なのに対して、ジェスホーンのNYSPは200㎜ちょっとある。結構でっかくて、まるでハイドアウトの様だ。
もともとフォルダーだったのをフィックスド化したものなので、ハンドル長が長い訳だ。
はじめこれを知らなくてラブレスオリジナルの大きさでデザインしたら、なんかヘンテコで悩んでしまったw

ブレードは2.6㎜厚のRWL34で、低温焼き戻しで使った。
ヘアラインは1500番でやったが、1000番の方がよかったかもしれない。

ハンドルは象牙を使った。この象牙は岡山の吉川さんから頂いたものだった。(吉川さん、その節はありがとうございます~)
象牙なんて初めて扱ったが、案外加工性がよくて仕上げも難しくなかった。しかし条件によっては変形しやすいのが厄介だった。
経年変化や伸縮の問題があるが、手触りよく手に馴染むので、道具としては意外といいのかもしれない。ナイフの様な金属板に貼り付けるという使い方自体が、間違いなのかもしれないと思ったw
象牙の取り扱い許可は持ってないので販売できなくなってしまったが、これは気に入ったので自分のコレクションにする事にした。

ジェスホーンはボルスターには416のステンレスを使っていてらしい。ここは圧延材のニッケルシルバーを使った。
ピンとパイプのニッケルシルバーを使った。ジェスホーンはピンはニッケルシルバーを使ってるそうで、パイプはアルミらしい。
NYSPで厄介なのはドットホックの取り付けだ。
ラブレスの本物なら貫通させてハンドル止めるファスナーボルトを利用できるが、ジェスホーンのNYSPはタングにネジ切って締めなければいけない。おまけにハンドル材が薄いので、ドットホックを面一にしようとすると一工夫必要になる。

シースはラブレスオリジナルに似せて作ろうかとも悩んだが、ジェスホーンに敬意を表して真似てみた。
謎だったのはどう見ても裏側の革が銀面がシースの内側になってる事だった。
表から見た時に見栄えがいい様にするため?
そもそもシースはジェスホーン本人が作ってたんだろうか?
ここまで真似する意味もなかったのかもしれないが・・・結果としてシースの裏面は床面が出た状態になった。まあこういうのもありかw

元ネタの構図で撮ってみた。



https://cdn11.bigcommerce.com/s-9wkbmoapx6/images/stencil/1500x1500/products/303/26020/K10361-Horn-Jess-5952__07301.1741376672.jpg?c=1&imbypass=on

久しぶりに製作記を一通り書いたが、実に楽しかった。
ナイフに限らないが、もの作りは一つづつ段階を確実にこなしていかないといけない。何処か飛ばして出来るものでもない。
まあ楽しんで見てもらえれば嬉しいw

2025年6月18日水曜日

蜂の夏準備


 数日前にやたらと蜂達が騒がしかった。
空梅雨で気温が高くなっていた。
放置状態だったが、暑さ対策をしなければ・・・

ちょっと蜂数が少ないのが気になる。
騒がしかった時に、周りの地面に蜂が沢山死んでいた。
何が起こったのかと思ったが、どうやら巣板の一部が落ちたらしい。
これが原因で騒ぎが起こっていたんだな。

底板を通気の良いものに変えとく。
大分重くなっていたので箱を一段足すべきかと思ったが、下の巣板のつまり具合が良くないのでやめておいた。

とりあえず様子を見る。
この夏を乗り越えられるか?・・・