2022年5月30日月曜日

マイカルタの反り


マイカルタって案外変形している事があるので、使う時は研磨して面を出している。

大抵結構反っている事が多い。
この面は凹状になっている。
その裏側は凸状になってる。
自分の場合、この面をタングの接着面にしている。
何故かというと、反ったマイカルタは整形すると元に戻ろうとする事があるから。
凹状の面を接着面にすると、端部が剥がれやすくなる。
ハンドルお尻は厚みがありソングホールパイプがあるので比較的剥がれにくいが、ヒルトレスのインプルーブドハンドルの場合などは先端部に隙間ができてしまう事がある。

古いマイカルタなんかは大きく反っている事があるので要注意だ。
経年変化の反りは何かの拍子に元に戻ろうとする事がある。
経年変化でさらに反りが進むより、元に戻ろうとする事の方が多い様だ。
人工材であっても経年変化による変形や伸縮はあるので慎重に使わないといけない・・・


 

2022年5月29日日曜日

ライフル撃ち初め

射撃に行ってきた。
ライフルの許可下りての撃ち初め。

30-30の弾って、あまり売ってないんだな・・・困ったもんだw

ウインチェスターM94、50mの依託射撃。5発撃ってみた。
やや左下に同痕もあって、それなりまとまっている。アイアンサイトだとこんなもんか?

M94のストックの先は真鍮版が張ってあって硬く尖っているので、肩に伝わる衝撃が凄い。12番の870で撃つスラッグより厳しいw
あまりに痛いのでタオルをガムテープで貼りつけてしのいだ。
やっぱりウエスタンスタイルで腰だめで撃つのが基本なのか?w

照門は一番下に下がっていたので一段上げてみた。このシンプルなアイアンサイトがいいんだなw

同じ様に5発撃ってみた。上下はちょうどよくなったみたいだ。
もうちょっと右に寄せたいが、左右の調整は照星を左か照門右に動かす必要がある。
アリ溝に嵌ってる構造なので、ハンマーで叩いて調整するか・・・

次は308のサコーのボルト銃。猟仲間はスコープ付きなので100mで合わせればいいとの事。とりあえず100mを依託射撃。
弾は155grのラプアの射撃用を5発撃ってみた。
はじめの一発が大分上に着弾したが、4発は上目だがそれなりに纏まってる。左右は合ってる?
今度は308の168grの猟用の弾。10発撃ってみたが、随分右下に行き纏まりも悪い・・・
元の持ち主は155grの弾がいいと言ってたが、相性の問題があるんだろうか?

サコーのボルト銃には2-7×32のスコープが付いている。猟で使うにはちょうどいいサイズなのだが、撃ってみて分かったがケラレやすくて狙いにくい・・・それにレンズが傷だらけのせいもあって解像度が今一な感じだ。
打ち付けた形跡があってズームダイヤルのところから微妙に曲がってるのも気になる。
以前使ってた410番のレバーアクションで使ってた3.5-10×50のスコープを持っている。
微妙にでかくて邪魔と思い使ってなかったが、これでも付けてみるか。
このスコープは猟を教えてくれた、亡くなったカスタムナイフメーカーの榊原さんに勧められて買った。思い出の品物なんだなw

問題は照門の土台が干渉して、そのままでは付かない。
照門は前の持ち主が「猪引っ張り出す時にロープが引っかかって無くなっちゃったw」との事。
どうせオープンサイトなんて使わないから削っちまうかw


 分解の仕方が分からなかったが、猟仲間に教えてもらった。
でもフルストック風の先台の先が変な固定のされ方になって外れない・・・とりあえず機関部バラせたからいいか。
トリガーユニット掃除したら固かったセーフティの動きが軽くなったw

とりあえず二丁撃ってみて感触は分った。
問題点を改善して、また射撃に行ってみよう・・・

2022年5月15日日曜日

3.5incセミスキナー

3.5incセミスキナーが出来た。自分には珍しくご注文での製作。


ブレードはS35VN、3.4㎜厚の鋼材を背側を削り抜いて、ブレードは実質2.8mm厚としている。

さすがに耐摩耗性のいい鋼材で、研磨には難儀した。いつもは2500番のヘアラインで仕上げるが、とてもそこまで磨く事は出来なかった。仕方がないので1000番のヘアライン仕上げとした。


ハンドルはアイアンウッドの瘤材を使った。鋼材とハンドル材はご注文主からの支給品だった。

アイアンウッドは板目や柾目しか使った事ない・・・というか、瘤材は高くて使った事がない。

瘤材は巣や細かい割れがあって処理に困った。表面に樹脂を塗って固めてしまうのが手っ取り早いが、それだと実用で使った場合に剝げてきてみすぼらしくなる。割れや巣は大きい部分だけ瞬間接着剤で処理して、磨いた後に桐油でオイル処理とした。天然材はオイル処理がいいと思ってる。

ハンドル材のブックマッチって二通りの考え方がある様だ。

自分の場合は本を開いて、その間にタングを挟むのがいいと思ってる。その場合はタングの外周から見て木目が合う様になる。コンシールドタングの場合はこうするべきだと思う。

もう一つの方法は開いた本をさらに開いて、表紙側にタングを挟む方法がある。これだと切った面が表面になるので、ハンドルの表裏で模様がなんとなく近くなる。(削って整形するので全く同じにはならない)

どちらの方法がいいかは好みの問題なのかもしれない。


アイアンウッドの瘤材も案外いいなと思った。

S35VNは研いでみると、やはり耐摩耗性がいいというのを実感する。滑らかな刃が付く様に、高番手まで研ぐのは難があるかもしれない。中砥ぐらいでザックリ研いで使うのがいいのかもしれない。ザクザク切れて刃持ちもいいと思う。


最近はセミスキナーのシースはトリプルステッチが標準になった。

セミスキナーって狩猟以外でも汎用性があって自分は好きなモデルだ。ドロップより研ぎやすいのもいいと思う。
 


2022年5月3日火曜日

本物のモデルガン?

 散弾銃を所持してから10年経ったので、ライフルの所持許可の申請していた。
先日許可が下りて、晴れてライフルを持つ事ができた。
数年前に銃砲店に取り置きしてもらった一丁と、猟仲間から貰う事になったのと合わせて、二丁同時申請になった。
先月初めに申請書類をだしたら、二週間ちょっとで許可が下りた。一か月以上は掛かると思っていたので拍子抜け似た。
申請時はさすがに二丁何故必要なのか?と聞かれたが、一丁目がスコープが取り付けられないので、技能講習でスコープ付きを持っていたいのと、タツマと勢子で使い分けたいという事で理解してもらった。


一丁はウインチェスターのセンチネル66、20inc銃身のカービン。
ウインチェスターが100周年の時に記念モデルとして作った物らしい。

モデル名が66だが、実際はM94でM66で真鍮製だった機関部をメッキして真鍮風にしている。だから銃砲店の社長曰く「本物のモデルガンなんだ」との事w
鉄の機関部に真鍮メッキなのかと思ったが、調べたら金メッキらしい。
今でもアメリカだと箱入り新品のデッドストックが出回ってるらしいが、この銃はほとんど使った形跡がなく非常に状態がよかった。


弾は30-30。本物のM66だと拳銃と共用の弾なので45口径なんだろうか?
オクタゴンバレルなので30口径だと無駄に肉厚があって重い。マズルジャンプしにくくなっていいんじゃないかとの事だが、果たしてどうなんだろうか?
それでも重量は3.1㎏と軽い。以前持ってたM9410とそれほど変わらない感じだ。


M94斜めに排莢するアングルエジェクションだったが、これは真上に排莢する。そのためスコープを付けるにはオフセットマウントになる。
オフセットマウントは構造上剛性が弱いので、結局のところスコープは付けない方がいい。
そもそも命中精度がどうなんだろか・・・前に持ってたM9410はどうにも集弾が悪かったが、ライフルだからなんとかなるだろうw
今はウィンチェスターのレバーアクションはミロクが作っているらしい。本当ならミロクの新銃が欲しいところだが、日本で販売していないのが残念だ。

もう一丁はサコーのフルストック。何てモデルなのかは分からない。
10年前に最初の一丁のM870を貰った猟仲間から今回も貰った。
猟仲間も誰かから貰った物らしいが、自動銃を使う様になってからは使ってなかったとの事。結構古い銃らしい。


ボルト銃でスコープも付いているが3.6㎏と意外と軽い。
長年酷使されていて外見はくたびれているが、まだ十分に使えるだろう。

よく見ると銃身先の部分のストックは別パーツになってる。フルストック風にしてあるんだなw
弾は308。タツマで使うにはよさそうだ。

2~7倍のスコープが付いていた。猟場なら2倍で使って十分かもしれない。
レンズは傷だらけだが、とりあえず十分見えるからいいだろう。

散弾銃だとどうしても半矢で逃げられてしまう事が多かった。獲物を確実に仕留めるためにもライフルはどうしても欲しかった。
しかし10年は長かったが、思い起すとあっという間でもあった。
猟を教えてくれたナイフメーカーの榊原さんが亡くなって9年も経つんだもな・・・














2022年4月27日水曜日

素揚げする



10C28Mo2で二本作っている。熱処理から帰ってきた。
大判の鋼材から切り出したので、この二本は兄弟みたいなものだ。
酸化膜の色合いがいつもより白い・・・ちょっと気になった。

このところ熱処理が上がったら硬さを測る事にしている。
自分でデーター取りする事で面白い事も分かってくる。

いつもなら大体60いくかどうかという硬さなのだが、1近く硬さが高い・・・なんか変だ。
バラつきは大体鋼材で±0.5程度、熱処理で±0.5程度になる。
しかし今回の鋼材は大判で買ったもので、以前に作った物を測った硬さからして、ここまで高めに出るのは不自然だ。
熱処理のバラつきが大きかったと思われる。考えられるのは焼き戻しのバラつきだろう・・・

念のため焼き戻す事にした。
元々焼き戻しの条件は極低温なので、焼き戻しが甘いと靭性に問題が出る可能性がある。この辺りの靭性は動的?な刃欠けというより、疲労強度に影響すると思われる。刃持ちに出てくると考えている。
あまり戻しすぎると硬さが落ちすぎるので150℃を目標にしたが、コンロの火力の都合で153℃近辺でエンジンオイルで煮てみた。2時間この温度を保持して、引き上げて水冷した。


概ね1近く硬さが落ちた。これなら標準的な硬さだ。

念のため金属顕微鏡で組織も観察してみた。


600倍で横の画角が約100μm。 
硬さが高くなる原因はオーステナイト化温度が高い可能性の考えれれる。その場合、炭化物が過剰に溶け込むので大きさが小さくなり分布も少なくなる。
今回は研磨とエッチングが今一だが、以前観察した物と比較して見ると遜色はない。
炭化物の大きさ分布とも問題はないので、やはり焼き戻しのバラつきの様だ。
硬さは低い方より高い方にバラつく場合は要注意だ。靭性や組織に問題があるかもしれない。硬さが高いからといって単純に喜べるものではない。

2022年4月24日日曜日

一品物?

一本完成。

ブレード形状的にはケーパーに近いか。型を作らずに気分で切り出して作った。型がないので同じ物は作れないw


ブレードはサンドビックの10C28Mo2の2.5㎜厚を使った。長さは約3inc。

10C28Mo2はCRMO7と同等との事だが、若干硬さが高いのでなかなかいい鋼材だと思う。


ハンドルは白骨化した和鹿の角を鉄漿で染めた物を使った。

鉄漿と言っても鋼材の削りカスを酢に漬けた酢酸鉄の溶液を塗って、そのあとに緑茶を塗ってタンニン鉄に置換する事により定着させた。


ヒルトはニッケルシルバーだが、ピンとソングホールのパイプは真鍮を使った。


ハンドルは前端を絞ったが、後端に掛けてはボリュームを持たせた形状にした。
貼り合わせのハンドル構造はちょっと厄介であるが、模様と元の角の形状が生かせて結構好きだ。

エポキシを充填しているがハンドルお尻の髄が見える様にしているのも、生きていた証の様な気がしてわざとこのままにしている。



 シングルステッチで細身に作るべきかと思ったが、ダブルステッチで作ってみた。

シングルに遜色ない程度にコンパクトに収まる様にはしてみた。シースは一度作ったのが気に入らなかったので作り直した。作り直してよかったw

2022年3月12日土曜日

S35VN

ご依頼でS35VNを使う事になった。
組成からして焼入れのオーステナイト化温度が高目でないといけない事は分かっていた。
二次硬化する高温焼き戻しで使うべきか、それとも硬さと耐食性で有利な低温焼き戻しで使うべきか悩むところだ。
とりあえず端材で試験片を作って調べてみる事にした。

硬さを測ってみた。
S30Vと比較してみたが、やや硬さが低い様だ。しかしこのぐらいの違いは鋼材と熱処理のバラつきもあるので、実際のところは何とも言えない。
しかし概ねS35VNとS30Vは傾向がよく似ている事は分かった。

ちなみにだがマトリックスアイダのATS34とCRMO7の熱処理条件は、D2などよりオーステナイト化温度が数十度高い。ATS34は二次硬化する高温焼き戻しで、CRMO7は硬さを稼ぐために低温(D2より数十度低い)焼き戻しになっている。
あまり知られていないがCRMO7もオーステナイト化の温度が高目である。炭素量に対して炭化物傾向の高いMo含有量が多いので、炭素を固溶するのに温度が高い必要があるから。

S35VNとS30Vの資料を見直してみると、熱処理条件による硬さの特性は全く同じ事が書いてある。
テンプレートで同じにしてしまったのかと思っていたが、試験片の結果から見てほぼ同じ特性なのは間違いない様だ。


 注意書きが小さく書いてあるのだが、真空炉での気体冷却だと硬さがHRcで1~2低くなるとある。
以前考察したが、おそらくVの含有量が多くなると冷却速度を速めないと硬さが出にくくなるのだと思われる。
スーパーゴールドⅡもその傾向があって、同じ様な事が武生の資料に書かれていた。
究極的にはソルトバスで油冷却を指定すればいいのだが、ソルトは肌が絶望的に荒れるし、油冷却では薄いエッジは変形する可能性がある。そのため削り代を残して処理しなければいけなくなるが、あとの手間が大きくなってしまう。結局掛けた手間に見合う性能向上になるのかという問題になる。コストもあるのである程度の割り切りってのは必要だ。

S35VN生材600倍。
600倍は横方向の画角がちょうど100μmになる。

S35VN生材150倍。

S35VNマトリックスアイダCRMO7の条件600倍。

S35VNマトリックスアイダCRMO7の条件150倍。

S35VNマトリックスアイダATS34の条件600倍。

S35VNマトリックスアイダATS34の条件150倍。


S30V生材600倍。

S30V生材150倍。

S30VマトリックスアイダCRMO7の条件600倍。

C30VマトリックスアイダCRMO7の条件150倍。

S30VマトリックスアイダATS34の条件600倍。

S30VマトリックスアイダATS34の条件150倍。

S30VとS35VNの組織はよく似ている。
高温と低温の焼き戻しも、基本的には大きくは違わない。生材と比べると幾分炭化物が固溶して小さくなっている。基地の粗大化も見られないので、オーステナイト化温度は適正な事が分かる。

エッチングで気がついたが、高温焼き戻しより低温焼き戻しの方が腐食しにくかった。
高温焼き戻しは二次硬化するのに微細な炭化物の析出がある訳だが、その時に基地に固溶していたCrが炭化物に食われてしまう。このため幾分耐食性が不利になる。
しかし経験上だがATS34やSPGⅡなどで見ていて、実用では低温と高温焼き戻しでは大きな差を感じる事はない。

ご依頼でS35VNでセミスキナーを作ってる。
試験片の結果から低温焼き戻しで熱処理してみた。
生材の状態で1000番以上の掛かりが絶望的だった。
1500番までは掛けたが、熱処理後はどうなんだろか・・・